聖あげはが保育士として活動をはじめる。最強の保育士と自称する聖に園児は興味しんしんで、プリキュアと知りあいとわかったことで、いっそうなついていく。しかし敵バッタモンダーは戦闘における聖を外野と罵倒していた……
上野ケン作画監督で、華々しい新プリキュア登場回にふさわしい麗しい画面をつくっていた。アバンタイトルと後半で2回も長めの戦闘をして、ドラマ本編では複数の園児を登場させながら映像リソース不足を感じさせない。おそらく芳山優原画だろうキュアバタフライの変身や必殺技も、あえて動画が少ない引っかかりある動きがキメキメなダンスのようでかっこいい。
しかし物語については、敵を倒すことが強いことではないというそれはそれで重要なメッセージと、キュアバタフライに変身して強くなるという販促エピソードの相性が悪いと感じざるをえなかった。キュアウィングに憧れる男児が正しさで暴力をふるう過ちをおかして、それを聖が注意する物語は、キュアバタフライ誕生以前の独立したエピソードで見たかった。
一応、攻撃される男児を聖が助けてから、決意をもってプリキュアになる資格をもぎとるという類例のない変身プロセスにすることで、プリキュアに変身したから強くなったのではなく強かったからプリキュアに変身できたというニュアンスのドラマにはなっているが……聖が最強を自認するキャラクターだからこそ今回にメッセージを入れたかったのだとしても、この作品の各話エピソードの密度の薄さが、やるべきことを後回しにしてしまったのではないかと思わざるをえない。
あと、理性的によそおって感情を爆発させ、上品にも下品にもふるまいつつメタな発言で野次をとばすバッタモンダーは、物語を動かすのに便利なキャラクターだな、とは思った。やりすぎると安易になるし、物語の都合で動いているだけに見えかねないが、今のところキャラクターとしても魅力的になっている。