1970年代、日本の下町に住む四姉妹が、謎の敵に襲われる。四姉妹の長女は謎の青年に助けられるように巨大ロボットに乗りこみ、敵と戦うことになる。どうやら家族と敵には12年前の因縁があるらしいが……
1999年から全6巻で販売された、サンライズ初の完全オリジナルOVA。つまりオリジナルTVアニメのシリーズや原作付きではない映像ソフト販売が初出の作品。ただし実制作はイマジン。
残念ながら映像クオリティはイマイチ。背景動画の多用などで作画枚数の多さは感じられるし、全体的に作画は同じレベルを維持しているが、そのレベルがあまり高くない。TVアニメ企画を半クールでOVAで制作したような作りで、演出は劇中設定と同じ1970年代のOVAの延長。
シリーズ構成の五武冬史と、モーフィングを多用する当時なりのCG活用で1996年のTVアニメ『勇者王ガオガイガー』を思い出させるが、比べてメカアクション作画がとにかく古いし、動きも最上時のTVアニメに劣っている。同時期にOVAとして展開されていた続編『勇者王ガオガイガーFINAL』との映像差にいたっては勝負にならない。ロボットが合体変形する使いまわし映像、いわゆるBANK作画を下請け会社スタジオダブが担当して、わざわざ毎回クレジットされるくらい特別あつかいされているが、当時なりの良さでしかないところが作品の水準を実感させる。
1970年代を舞台としたレトロ趣味も、作品に雰囲気として反映されていると感じたのは劇中TVに『勇者ライディーン』が出てくるところくらい。美少女のキャラクターデザインは1990年代末期らしく、1990年代前半までのデフォルメ美少女の反動として『ブレンパワード』『超神姫ダンガイザー3』などで見られたリアル指向だが、劇画調とも違うシンプルな生々しさをちゃんと映像にできているとは言いがたい。良かったのは平面デザイン化されたEDくらい。
全体的な設定も見えすいている。主人公に味方する謎の青年の意外性がちょっと良かったくらい。未来から来たという中盤の予想を、実は敵生物が潜入工作のため作りだした人造人間を未来人が鹵獲した、いわば『ターミネーター2』のような設定だったと明かされたのは面白かった。