法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『宇宙戦艦ヤマト2199』第3話 木星圏脱出

なるほど、ガミラスフォーミングのために送り込まれた植物群は、今回の伏線でもあったのか。初代シリーズから引用した木星浮遊大陸にSF的な説明をつけつつ、さまざまな因果がクライマックスの波動砲使用に結晶する。
そして波動砲の威力を初めて確かめた後は、その強大すぎる力を恐れつつ、旅の目的を再確認する。この場面で武装は自衛のためと艦長が念押ししたのも、おそらく終盤で語られるだろう「愛」の大切さを、一貫性をもって描くためだろう。


樋口真嗣コンテによる映像も期待以上。
浮遊大陸に投錨する描写はメカニックの重量感とフェチズムな魅力にあふれていたし、兵装による威力の差異も面白い。浮遊大陸という舞台を活用した軍艦の距離感や、雲を使った空間の広がりも映像表現として良かった。波動砲で砕ける浮遊大陸も、手描き作画らしい見せ場になっている。
庵野秀明コンテのOPも、初代シリーズをほぼ踏襲しながら、ほんの少しの変化で現代的なアニメとして楽しめる。ただ、3DCGで描画されたヤマトがカメラにせまってくるカットは、なめるような手描き作画とは違って淡々としており、少し残念だった*1。3DCGでも、レンズを擬似的に切り替えることで艦首を伸ばしてみせたりできないものか。

*1:http://d.hatena.ne.jp/zeroes/20130123/p1のイベントレポートによると、庵野監督自身も完成映像に対して不満を述べていたとのこと。同じようなカットの再現では、『勇者王ガオガイガー』第31話で手描き作画されたジェイアークがオマージュとして素晴らしく、今でも印象に残っている。