偵察任務から古代と森が帰還すると、ヤマトは誰も管理していない状態となっていて、呼びかけに応じる者もなかった。かろうじて内部に入った二人は、無人の艦内をさまよいながら、奇妙な影にまとわりつかれ、それぞれの記憶と向きあわされる。
映画『パーフェクトブルー』で代表されるように、実写アニメを問わずホラー作品を多く手がけてきた村井さだゆき脚本らしい、サイコホラーの趣がある番外編。1990年代後半から2000年代前半の深夜アニメを思わせる*1。
そうした箸休めでありながら、他のエピソードでは語りにくい設定説明もこなす、技巧的な話運びが良かった。これまで背後関係をにおわされてきた森の過去へさらに踏みこみ、古代が主人公として敵と戦う動機を再確認し、戦前の地球の風景を描いて映像に変化をつける。もちろん前回に古代が独断専行したフォローも入っていた。
精神攻撃の描写そのものはベタで、さほど怖いわけでもなかったが、作品の世界観を壊さないためには適度だったともいえるか。