法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『世界まる見え!テレビ特捜部』不思議な場所SP!  衛星写真が捉えた砂漠に出現した謎の黒い点(秘)正体

最初は衛星写真に映ったさまざまな不思議な情景に専門家がいろいろな仮説をたて、真相を明らかにしていくドキュメンタリ。ボリビアアンデス高原にある黒い線が放棄された列車跡という話などは過去にも見た記憶がある。
公式サイトのサブタイトルにある黒い点は、エジプトの砂漠で発見された穴らしき黒点。最初はカナートと呼ばれる地下水道かと思われたが、直線的ではなくランダムに穴がならんでいるし、近くに川があるので地下水道をほる必要がない。そして黒い穴の発見時期がエジプト革命と符合することから、反政府勢力が逃げこんだ可能性がまず論じられ、やがてデモ鎮圧に治安部隊がかりだされていたため盗掘が多発した結果だとわかる。歴史を破壊する事件ではあるが、過去と現在の激動が犯罪の表出によって関連する歴史の興味深さも感じた。
ペルーのインカ帝国跡には、高山を段々に臼状に掘った穴が見つかった。正解は採掘跡だろうと思いながら見ていたが、よく見ると段々が石垣で補強されていて、鉱物などを掘った跡には見えない。そこから闘技場という可能性が提示されるが、別の仮説として提示された一段ごとに温度が変わることを利用した栽培試験場という話に驚く。しかし石垣の保温効果を利用して植物を育てるという考えは、みかんなどの段々畑で日本でもおこなわれているので納得感がある。
みかん・柑橘のことなら「みかんな図鑑」|伊藤農園 | 伊藤農園のみかんな図鑑

石垣は日光を反射させたり、太陽熱を保温したり、排水性をさらに良くして、雨水による崩壊を防ぐ効果もあります。


英国イングランド北西部にある小さな町アップルビーでは、毎年6月に3日間つづく祭りがある。現地住民ではなく、かつてジプシーと呼ばれた*1ロマたちが集まり、馬を売買する伝統的な祝祭だ。
被差別民族を歴史的に許容する祭りではあるが、祭りらしく乱暴な破壊活動や不法侵入なども起きるので、現地住民は邸宅を板のバリケードで覆ったりする。警察も折衝や指示にかりだされるが、ロマは支配に反発する。
しかし馬を洗うために乗り手ごと川に入ったり、その川で死亡事故が起きたため流水が多い時には制限しようと苦労したり、馬が傷つけられないよう動物愛護団体も監視して助言したり、ちいさな村が観光地として注目されることに喜ぶ老婆もいたり、人間模様が楽しい。
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中国からは広西チワン族自治区で、小さなシャオジャン村に自動車がとおれるような道路を作ろうとした個人を追う。
シャオジャン村は約40人しか住んでおらず、中国政府も道路舗装を後回しにしている。そこでホアンという男が肝臓ガンに苦しみながら、ショベルカーを借りて約5kmの道を山に切りひらいていく。
大学に進んでいた娘が休学してホアンを助け、ホアンは伝統的な医療で疲れた肉体を癒す*2
途中まで建設した道路が崩落したため川からはなして建設しなおしたり、苦労しながらもついに完成。そして紹介されたドキュメンタリの後、2019年にホアンは亡くなったとスタジオで紹介された。
その道路は中国政府が舗装をおこなったというが、北野武がいうようにホアンの名前を道路につけても良いのでは、と思った。

*1:ただし編集されたドキュメンタリやスタジオでは説明がなかった。

*2:治療効果はともかく、精神的に安楽にする効果は一応ありそうだった。