法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『デリシャスパーティ♡プリキュア』第26話 ここねのやくそく!ピーマン大王への挑戦

和実が美味しいというピーマンを食べたコメコメは、その苦さに苦手意識をもってしまう。実は芙羽も、食材の味をたしかめている母の真似をして幼少期にピーマンを生で食べて、苦手意識をもっていた……


金子香緒里脚本、土田豊演出、上野ケン作画監督。とにかく上野ケン回らしく描線が太くて美麗。口元のクローズアップや口内視点のカットなど、食をテーマにした物語ならではの絵が多く、どれも上手い。


物語で印象的なのは、優等生キャラクターの菓彩が「無理に食べる必要はないと思うが」と明言する描写。
弱さの肯定ですらなく、それを正しい観点と位置づけたことが、良い意味で時代の変化を感じさせる。
ピーマンを食べられるようにしようと和実が提案するのも、あくまでそのほうが楽しいからという価値観によって。


課題の克服をきちんと描かなかった前回*1前々回*2のような不満もない。説得力あるアプローチで苦手を克服しながら、ただ食べて楽しむだけでなく、料理や食材について知る楽しみもきちんと描ききった。
物語の構造としては、ピーマンをそれと知らずに食べることで苦手な気持ちを忘れさせるか、逆にピーマンをよく知って食べることで親しみをもって苦手をなくすかという前半と後半の対比になっている。物語の主軸をひとつにして無駄をはぶいたおかげか、前半ではきちんと多様でリアルな料理を用意して、後半の農家や併設レストランも現代社会のそれをアニメらしく落としこめでいる。
前半の時点でピーマンがどのように料理されるか知ることがないよう、料理を手伝おうとする芙羽をコメコメが恐怖心からひきとめる描写を入れたり、以前にSNSで人気の美食家として描かれた運転手*3がピーマンを知る方向のアプローチを提案して助力もしたり、魅力的なキャラクタードラマがストーリーを支えている。