法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ルパン三世VSキャッツ・アイ』

 日本の屋形船で、怪しい会合があった。その一方はルパン三世の変装。入れかわるように本物が到着して、屋形船をつかった追跡劇が始まる。一方、喫茶店をいとなみながら父の遺産を盗むように奪還していた三姉妹に、奇妙な来客がおとずれる……


 Amazonの資本で2023年に作られた約1時間半の長編アニメ。モンキー・パンチ北条司の代表的な怪盗漫画をクロスオーバーし、個々をアニメ化してきたトムスエンタテインメントが制作した。

 視聴して初めて知ったが、キービジュアルの印象に反してセルルックの3DCGアニメだった。監督名をよく見れば静野孔文瀬下寛之の共同で、『シドニアの騎士』で3DCGアニメを成功させた演出家だ。
 かなりルックは統一されていて手描きっぽい絵柄になっていることは感心したし、外資の予算をつかった技術の蓄積として今後に活用できそうだが、手描きアニメのデフォルメされた奔放なアクションはなくて起伏にとぼしい。亀垣一とキャラクターデザインの山中純子のふたりが原画としてクレジットされているように、手描き部分もあるはずだが目立たない。
 騙しあいのサスペンスとしての物語も平坦で特に良いところがない。黒幕を予想できない人間はいないだろうが、それ以上に展開になにひとつ意外性がないのは残念。
 キャッツ・アイの三姉妹は原作のレオタードほどではなくてもセクシーなボディスーツ姿の怪盗だが、予想外にルパンがゲストヒロインあつかいしない。どちらかといえば怪盗の先輩として三姉妹の妹をしかたなく助ける側面が多かった。キャラクターだけでなく原作者も『ルパン三世』のほうが年齢や売り上げなどが高いためか、ずっとルパン一味が三姉妹を圧倒する。『ルパン三世VS名探偵コナン*1のように若手が出し抜くような展開をいれたほうが、両作品の魅力がひきたつと思うのだが……