法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『デリシャスパーティ♡プリキュア』第15話 ドキドキ!ここね、初めてのピクニック!

学校の食堂がつかえなくなり、担任教師がピクニックランチを提案する。イベント的にみんなで食べる計画にクラスはおおもりあがり。特に高嶺の花と思われていた芙羽との会食を願うクラスメイトが多く、それにこたえるように芙羽も全力をつくそうとする。しかし、華満らんはひとりで食事を楽しんでSNSに投稿している人物に憧れを感じていた……


東映でキャリアをつんできた伊藤睦美が脚本。一方で絵コンテの佐藤道拓はあまり見ない名前だが*1、多用されたデフォルメ表情もアクションのエフェクト作画も全体的に良好。
物語は前回*2とは逆に、正体を隠したヒーローとして和実に高評価されることを内心で期待している品田がかわいい。絶妙なふびんさで応援したくなる。和実が超然とした性格だけに、品田のようにサブキャラクター視点のほうが無理なく物語が進行する。
本筋では、いくらシェアをメインテーマにしている作品だからといって、料理を集団で楽しむことを前提にしすぎた語り口に違和感をもったら、それは意図的なものとわかる展開も良かった。クラスメイトとのランチを楽しもうと手いっぱいになって自身が楽しめない芙羽に、物語の序盤にあったコミュニケーション下手キャラクターとしての魅力を思い出させる。
それと対比するように、ひとりで食事を楽しむ初老の運転手をとおしてシェアするだけではない食事の楽しさを描いていく。『孤独のグルメ』が定着してひさしいが、実際に高齢の男性がブログやSNSで食事を楽しむ姿を発信する時代にもあっていて*3、まったく違和感がない。メインテーマを完全に否定するわけではないが、それと対立する考えも肯定していくエピソードを挿入することは基本的に連続ストーリーにおいて好ましいと思っている。
プリキュアが勝手にブラックペッパーの呼称をブラぺにしてしまったり、文字通りナルシストな敵幹部がブンドル団のかけ声の格好悪さをツッコミ入れたり、キャラクターのライトな行動もちりばめていて楽しい。メインキャラクターが自滅するように失敗するエピソードでありながら、ストレスがたまりすぎない。

*1:今作第8話の演出なので、スタジオぎゃろっぷ関係者だろうか。 hokke-ookami.hatenablog.com

*2:hokke-ookami.hatenablog.com

*3:インターネットにおける飲食店の情報発信が少なくレビュワーの絶対数も足りない田舎に在住していると、そういうアマチュアの美食ブログが外食先の選択にあたって貴重な情報源になっている。