法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『相棒 season24』第8話 梟は夜に飛ぶ

 5年前に取材した縁で、亀山夫妻がよく来るようになった児童館。そこで「フクちゃん」が消えた経緯を解明した杉下は、それがより大きな犯罪と関係していることを推理する。そして人気絵本作家にして児童館オーナーとして読み聞かせをおこなっている女性宅に、青年が侵入した。恋人の女性を殺害した容疑で追われている青年は、絵本作家こそが恋人を殺した犯人だと考えている。そして青年のディスレクシアという特性や、5年前にあばかれた児童館の補助金不正受給がからみあうなかで、少しずつ人々は真実にたどりついていく……


 光益義幸脚本回らしく細部まで伏線をはりつつ、時事的な題材から個人の特性まで注意深く偏見を排しようとしている物語が良かった。全体像がわからない人々が、児童館を中心に少しずつ縁をつくって助けあう群像劇が、それ自体がよくできた作中絵本の物語と重なりあう。
 冒頭の推理が消失事件の解明から一気に飛躍したり、被害関係者同士の邂逅が特異な監禁事件を生み出して最終的に特命係が状況の把握に遅れたり、ディスレクシアという特性の内実が多様である結果として全体像が隠れたり隠されたり、謎解きサスペンスとして充実していた。
 実のところ、大規模な補助金詐取を背景にしているところで稚拙な陰謀論を工夫なく展開した前回*1を思い出したが、ディスレクシアなどで社会的弱者への支援の重要性を描いて、サスペンスとしても二転三転して楽しませるので、物語としての強度と娯楽としての密度が段違い。


 最後に真犯人を推理するところも、きちんと序盤で名前を呼んでいるので謎解きとしてフェア。ただひとつ文句をつけるなら、簡単に読み返せる小説と違ってTVドラマで手がかりを印象づけるには、もう少し描写で強調する必要があるかな、とは思った。とはいえディスレクシア設定が提示された時点で想像できる真相で、特命係が情報を確認できないわけでもないので、真犯人の指摘に理不尽な印象はない。