法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『あのコはだぁれ?』

 1992年、校舎の屋上で少女たちがいいあらそっていた時、いきなり強風が吹いて少女のひとりが転落、そして落下死した。2024年、同じ学校で補習をうけていた少女や少年が奇妙な出来事に遭遇し、同じ場所で少女のひとりが転落死する……


 2024年7月19日に公開された日本映画。『ミンナのウタ』*1の直接的な続編として作られ、清水崇監督は共同で脚本も担当した。

 LDHグループ作品として所属グループを本人役で登場させた前作と比べて、残念ながら予算は少なくなったように見える。生者が死者に変化する描写を多用しているが、日本映画としては健闘しているもののVFXとあからさま。舞台となるロケ地も前作を踏襲しつつ少なめ。
 また前作の終盤で明かしている情報ではあるが、少女のひとりの異常性を冒頭から暗示すべきではないと思った。それを隠して恐怖の主軸を観客が確信できない状況にしたほうが、誰を恐怖すべきかわからない不安感が前半で増しただろうし、連弾のような百合映画っぽい描写も素直に楽しめただろう。


 ただ現在のJホラー映画の水準で考えると、直球で怖くしようと全面で努力していて悪い作品ではない。過去と現在が交錯する定番の演出をつかいながら、因縁や後悔によって迷走する人々が逃げ場を失っていく。
 呪いが果てしなく過剰に伝播して死んでいく『呪怨』シリーズをセルフオマージュしていることが、後半のサプライズを強化しているところも面白い。実のところホラー映画としては肩透かしで拍子抜けに感じかねないとも思うが、しっかり伏線をはって謎解きとして成立しているので嫌いではない。
 中心となる狂気の目的が悪意ではないので、あえて生かす場面が多い前作と比べても救済が多いが、怖がらせようとする場面は本気でやっているので悪い印象はなかった。
 突然の大音声などで驚かすジャンプスケア演出が異様なまでに少なく、いわゆるピン送りを多用して恐怖の存在を隠したり逆に見たくないものに注目させたりに徹する挑戦ぶりも良かった。実のところ嫌われていてもジャンプスケアは便利で有効な演出ではあると感じてしまったが、そうではない演出を多数見せられるとその工夫だけで好感をもてるし、作品の個性が生まれているとも感じられた。