男子高の非正規女性教員ヒョジュは、産前休業した正規教員のかわりに担任をつとめるよう命じられる。大学では優秀な女性として助教をしていたヒョジュだが、現在は職場で差別待遇を受けながら、作家志望の男を世話していた。
そこに大学の後輩女性ヘヨンが正規教員として入ってきた。ヒョジュはヘヨンのことをおぼえていなかったが、親しげにまとわりつかれ、立派な婚約者を見せつけられて不快になる。しかしヘヨンがバレエ奨学生の男子学生と密会していることを知り……
2016年の韓国映画。内容としては女性同士のマウント合戦を描く俗悪漫画のたぐいと大差ないが、2010年代の韓国映画らしくリッチな画面で映像作品として充実している。
まず非正規雇用のつらさを描く序盤のパートがしっかりしていて、社会派映画のおもむきさえある。同じように妊娠しても非正規要員は祝福されず、そうなった時に辞めるという書類にサインをしなければならない。
そこから理事長の娘として一足飛びに正規教員となった後輩女性が登場し、生活も恋人も豊かさを見せつけてくる。マウントされるなかで、後輩女性が貧しいバレエ特待生男子ジェハとセックスしているところを目撃する。
弱みをにぎることで関係が逆転したかと思えば裏の思惑があったり、マウント合戦だけではない真面目なバレエ修行パートもていねいに映像化されたりと、韓国映画らしく展開が濃密で飽きさせないわけだが……
……そうしたマウント合戦漫画でありがちなように、とりあう少年ジェハはトロフィーにすぎず、ヒョジュもヘヨンも同性の後輩先輩にしか深い興味関心がない。
ヒョジュは少年のバレエを手助けしながら誘惑されるように性愛でも本気になるが、実は少年はヘヨンを愛したままで操られていた。しかしヘヨンは少年を遊び相手としか思っておらず、最後に屈服したヒョジュが家事をしてくれることを喜ぶ。
ヒョジュとヘヨンそれぞれの恋人も完全にマウント合戦の小道具でしかなく、最後まで物語の本筋にかかわることなく女性たちの確執にも気づかない。ヒョジュは愚かな恋人との関係を遮断し、おそらくヘヨンは恋人を人生の既定路線の相手くらいにしか思っていない。
不思議な執着もあわせて、これが百合姫連載漫画であればヘヨンがいだいていたのはヒョジュへの同性愛的な感情だったという展開もありえたかもしれない。実際に漫画ではそういう展開がジャンル雑誌でなくても時々ある。
しかしそこも韓国映画なので、浪花節な関係修復などせず俗悪サスペンスのまま終わった。結末に余韻があるので文芸的に良い映画のような雰囲気がただよっているが、未成年の学生に教師が性的な関係をもつ加害性へのフォローなどは当然なく、映像がちゃんとしているだけのエロティックスリラーといえばそれまでではある。


