韓国でChugong作の人気WEB小説がウェブトゥーンになり、世界的な人気を視野に入れてソニーグループのアニプレックス製作、A-1 Pictures制作という体制で2期にわたってTVアニメ化。2024年1月から1期、2025年1月から2期が、それぞれ1クールで放送された。
韓国のウェブトゥーンのハイクオリティなTVアニメ化という売りで宣伝していたが、実際に見ると現代ダンジョン物とデスゲームを組みあわせて、良好な作画で堅実にアニメ化した作品といったところ。
思えば、『ダーウィンズゲーム』や『グレイプニル』や『グランベルム』のように、デスゲームに異能バトルなど別ジャンルを加えてアクション作品としての魅力を前面に出す作品を良作画でTVアニメ化した時期があった。
堅実ぶりで面白いのが、いわゆるなろう系と呼ばれるジャンルでありながら、主人公がチートを獲得していく過程に話数をかけていること。主人公が特異な立場に追いこまれるまでの苦難に3話もつかっている。このジャンルは序盤で主人公の活躍できるようになる設定を出オチ的に見せて、後は仲間を集めていくパターンがつづくだけになりがち。そこで発端の出オチ部分を省略してTVアニメ化する『くまクマ熊ベアー』のような試みもあったが、逆に出オチ部分をじっくり描くことで差別化できるとは思わなかった。
原作は未読だが、短い更新をくりかえして読者を離さないWEB小説やウェブトゥーンの傾向として、短い話でこきざみに物語を進めて展開が遅々としがちな問題がある。その進行の遅さがメディアミックスの再構成で結果的に良い方向に向かったのかもしれない。
デスゲームとしては、かなりの流血や人体損壊をぎりぎりまで見せる自主規制回避ぶりが良かった。おそらくプロデューサーなどが奮闘したのだろうが、切断面だけは見せないようにしたり鏡面の反射で描写したりといったコンテ段階のていねいな工夫が効果をあげているように見える。
現在のアニメシーンではトップクラスではないものの、映像は高位安定。たとえば作画@wikiでは第11話が作画回*1に入っているが、第9話の徳田大貴コンテ回も悪くない。敵のキャラクターは「深淵」にまつわる最期の台詞もふくめて安易なパターンだが、初期回で脇キャラのように登場させていることや、依頼シーンでは姿を描写しないことで復讐に手を貸す展開がサプライズなのだと視聴者を誘導することで、そのパターンであることを予想させないシリーズ構成がうまい。
そして1期目最終回で主人公が「ソロ」でいて「ソロ」ではなくなった状態からむかえた2期目だが、ちゃんと主人公が策略でぎりぎり上回るくらい能力だけなら主人公より強い敵を用意している立ちあげは良い。
そこから第14話で彼我の戦力差を逆転する手法の倫理観ぶっちぎりぶりは凄かった。映画『きさらぎ駅』*2で見たギミックだが、あれよりも持続性があって後をひく。
また制作会社生え抜きの菊池貴行*3コンテ演出回で比べると、総合的な映像作品としては先述の第11話より第18話のほうが見ごたえがあったと思う。乱戦で一瞬止め絵はあったが、3DCGも活用してTVサイズで集団戦をやりきった。主人公がもぐりこんだチームが立派で有能な人物がそろっていて、それでいて強さの格差や微妙な個性が描かれていて、相対的に主人公の強さを表現しているところも良い。3DCGを活用したカメラワークなどで戦闘が理解できなくなりそうなところ、人間チーム、主人公が召喚した者たち、ハイオークの軍勢、さらにハイオークの死者が主人公に召喚された状態まで、チームごとに色彩を変えて状況が理解できなくなるカットがない。
あまり話題になっていなかったが19話は堀光明の一人一原。ただ近年の一人原画でよくある、他の作画監督や第二原画も多数入っているパターンで、コンテ演出も別人。あくまでラフ原やレイアウトのコントロールを一人でやりきったという感じだろうか。
そして物語の発端となるダンジョンで一大決戦がおこなわれ、ひとまず物語が終わる。鳴り物入りで登場した外国のS級ハンターが踏み台で終わったのはどうかと思ったし、結局は主人公がチートで敵を圧倒して倒しただけではある。ただ、第14話でつかったブラックなギミックを第24話から第25話にかけてウェットなドラマに活用したのは良かった。強弱だけではない世界の広がりがある。
