野比のび太の誕生日前日の放映だが、番組内で特に言及はない。一応、前後とものび太が違った方向で大人になるエピソードをアニメ化しているので、のび太テーマらしさはあるが。
「のび太の息子が家出した」は、のび太がいつものように母に怒られて家出しようとした時、机のなかから未来の息子がタイムマシンで家出してきた。息子のやりたいほうだいに、のび太は弱ることに……
2012年にアニメ化*1した短編をリメイク。立場や環境が人の思考を左右するという原作者らしい価値相対的な寓話を、今回も素直に映像化していた。
アニメオリジナル描写はのび太を両親のカットを入れたくらいで、基本的に原作にある描写をじっくり時間をとって行間をうめるようにアニメ化していた。驚きはないが悪くない。
絵コンテは竜恩遠という見たことがない名前。検索するとドラマ『探偵物語』の登場人物らしい他、同じシンエイ動画制作のアニメ『ちみも』のスタッフにも名前があるようだが、有名人の偽名だろうか。
「ゆめふうりん」は、のび太が語った将来の夢がなぜか両親にあきれられる。ドラえもんが内容をたずねると、のび太は大人になってガキ大将になりたいという。それも比喩ではなく文字通り……
水野宗徳脚本、小林彩コンテ演出で、初期原作を2005年リニューアル以降で初アニメ化。
ガキ大将をたとえ話のように解釈しようとして総理大臣を例示したドラえもんに対して、ジャイアンという実例を見せて否定するアレンジで、原作のおかしみを強調。原作の骨格をいかしながら強化している。
ドラえもんが想像を始める場面のデジタルを活用したカメラワークなど、クローズアップで面白い描写が多い。結果としてCM入りの直前に「ジョン氏の涙」で有名な紙面が大写しで確認できたり。
そうしてデジタル技術を活用して省力しながら面白い絵を作っているなか、ガキ大将に命じられた子供たちが散開する俯瞰カットはTVアニメとしては見事に自然なモブアニメーションになっている。ジャイアンとのび太で同じ絵を見せて対比する意図があるにしても力が入っていて良い。大塚正実原画だろうか。