法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『デリシャスパーティ♡プリキュア』第22話 ブラペ引退!?伝説のクレープを探せ

遠距離攻撃ばかりのブラックペッパーは、戦闘であまりプリキュアの役に立てなくなっていた。変身をといた品田拓海が悩んでいるところ、青果店の青年が悩んでいるのを見かける。ケンカしたおさななじみが入院してしまい、見舞いの品として「伝説のクレープ」をもっていこうとしたが、すでに海外へ移転してしまったというのだ……


金子香緒里脚本に、2回目の佐藤照雄コンテ。物語の関係でアバンタイトルと本編で2回戦闘があるところ、そつなくアクションを描写できていた。特に後半のアクション作画がシャープな絵柄で小気味よく動いていて楽しい。
本編は品田という少年視点で物語が終始するところが珍しい。もちろん品田視点で物語が進むこと自体には前例があるが、スタッフが変わっても同様のエピソードが来たということは、今作は少年の視点を本筋にとりこんでいく方針ということだろう。
『デリシャスパーティ♡プリキュア』第13話 うばわれた思い出を守れ!明かされる拓海のヒミツ - 法華狼の日記

あまりプリキュア側に動きのないエピソードだったが、2クール目のはじまりにして視点をサブキャラクターに変えた新鮮味もあり、けっこう楽しかった。

シリーズの過去作や似た魔法少女アクションで男性が補佐的なヒーローに変身することは定番のひとつだが、それらは成熟した男性か、どこまでも補佐にとどまるかで、ドラマの視点は担当しなかった。男性がレギュラーでプリキュアの一員になる通過点として、今作が位置づけられていくのかもしれない。
おさななじみに思いがつたえられない男ふたりの悩みが重なる構造もおもしろいし、そこで品田が製菓技術を見せて、さほど周囲に意外と思われないところが現代的。
もちろんプリキュア側に出番がないわけでもなく、品田と青果店の悩みを助けようと「伝説のクレープ」再現に協力する。強力粉と薄力粉の配分を試行錯誤する展開など、個性を否定する表現をつかわないよう試していく姿が子供番組としてよくできている。
試行錯誤を可能にするための大食ぶりを、先に巨大なパフェをシェアする場面を見せて、クレープの試食場面では和実の横に積みあがる皿でサラッと見せているのも楽しい。これは1000キロカロリーパンチをはなてるはずだ。


しかしナルシストルーの攻撃で記憶をうばわれる設定は、今回もとってつけたように感じられた。記憶とむすびつく見舞いの品のはずなのに、忘却描写からすぐプリキュアの戦闘がはじまる。せめて見舞いのクレープを喜ぶ描写は戦闘の後に配置したほうが作品フォーマットとして意味が出るのではないだろうか。