法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』わらってくらそう/のび太の息子が家出した

今回は前後半ともに原作あり。


Aパートは記憶だとアレンジが多目。そもそも原作がかなり短くて、聞いた言葉が何であっても笑えるという秘密道具が強力すぎて、笑うべきでない場面で笑って怒られるというだけの話だ。
秘密道具の機能が極めて限定されているから、話を転がそうにも限界が多い。イヤホンという形状から、うまく取り出せなくなる展開で何とかひねりを入れられたといったところ。
短い尺でスパッと終わらせた方が出来は良くなったんじゃないかな。


Bパートは息子が未来からタイムマシンでやってくるシンプルな親子話。大人になってから*1改めて見ると、教訓くさくなく教訓を伝える展開がきわめて巧み。
最初は子供目線で無理解な親への怒りで共感しつつ、同世代のつもりでいるところに子供を持った親の気持ちを体験させ、親のついた嘘の意味を共感できるように解説しつつ、その親の気持ちを子供にそのまま説明しても通じるわけはなく、親子の関係性を相対化して理解させる。そうして多重な視点で親子の関係を描きながら、闖入者に困らされるコメディというギャグマンガの筋はしっかり通している。
原作に忠実なアニメ化で良かったが、この構造を守ったまま、もっと尺をとって描いても良い作品になっただろう。

*1:まあ自分が大人になっているかというと、かなり疑問ではあるが。少なくとも今回の大人のび太よりは子供のままだ。