法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』のび太のブラックホール/ジャイアンVSメカジャイアン

のび太ブラックホール」は、のび太が食事に興味をもたないことを悲しむ両親のため、ドラえもんは何もかも飲みこむ秘密道具を出す。それを飲んだのび太は大食漢となるが、ジャイアンが対抗して……
2007年に安藤敏彦コンテ演出でアニメ化された中期原作を、佐野隆史コンテでリメイク。脚本は「へやいっぱいの大どらやき」からシリーズに参加している永野たかひろ
解説シーンのブラックホールをリアルな3DCGで描写しつつ、秘密道具の「マイクロブラックホール」は手描き作画らしい荒い描写。その荒さがアニメキャラクターになじんでいて、視聴者にとってのリアルからアニメ内のリアルを演出しているのは意図的かどうか。
物語は基本的には原作に忠実だが、描写を映像化する部分の取捨選択で違った味わいが出ていることが面白い。のび太は原作ではジャイアンとの勝負は淡々と圧倒して終わるが、今回のアニメでは追いすがるジャイアンに優越して人外ぶりを印象づける。
そして秘密道具を制御できなくなったのび太は、昼寝しながら無意識に部屋の物を吸いこんでいく。今回のアニメではゴミ箱が吸われそうな予感の描写にとどめ、しずちゃんが部屋にあがって片づいている様子におどろく。原作でも途中経過は省略して読者の想像にまかせているが、尺に余裕のあるアニメにおいて試聴者の想像をより引きだす方向へアレンジした。
そこから余った尺で、秘密道具を分解する飲み薬を飲ませるアクションを展開。原作ではドラえもんが起こして飲ませるだけだが、今回のアニメではドラえもんが犠牲となってしずちゃんに飲み薬をたくすドラマチックな展開。根本的にバカバカしい状況だが、ここでちょっと泣かせる雰囲気にしたことで、原作通りのトイレオチがきわだつ。ドラえもんのび太に飲みこまれたアニメオリジナル描写もギャグとして効果的で、いい意味で苦笑しながら楽しんだ。


ジャイアンVSメカジャイアン」は2018年の再放送。先週*1につづいて今週も高橋敦史コンテ回。
hokke-ookami.hatenablog.com
戦闘機に乗ってメカジャイアンのまわりを回りこむ描写がいい。結末の投げっぱなしもアニメオリジナルでは珍しい良さがあった。