法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』野比家の巨大マグロ/四次元ポケットにスペアがあったのだ

アニメオリジナルの前半と、原作通りの後半。


Aパートは、高価なマグロの刺身を腹いっぱいに楽しもうとして、秘密道具で小さくなった野比家一同が家庭内で冒険をくりひろげる物語。アニメオリジナル中編の佳作ロードムービー「そして、ボクらは旅に出た」*1を思い出す内容だが、舞台を屋内に限定しているので味わいは全く異なる。さらにサイズが小さくなっているため、今度は階段を昇ることができなくなっているといった差異でも楽しめた。原作から引いた泥棒猫によって状況がひっかきまわされ、次々に当面の目標が変わっていく展開の転がし方もテンポが良い。
猫の攻撃によってテーブルにこぼれた酒を四つんばいで吸い始めたパパに『探偵オペラ ミルキィホームズ*2を思い出したりも。キャラクターが全般的に自己主張激しく、その衝突のドラマでも面白い。
小さくなったキャラクター視点に合わせて、広角レンズっぽく歪んだ背景美術が面白かった。あまり精緻なレイアウトではなかったので、あくまで演出上の強調効果といったところだが。アクションを支えるだけの作画枚数は充分にとられており、結末の刺身も質感があり、映像全体ではまずまず。


Bパートはリニューアル前に原恵一がコンテを手がけた傑作があるので、それと比較すると少し落ちるかな。しかし基本的に原作忠実なアニメ化であり、特に悪い内容ではない。飛行機械の巨大感は作画も演出も良かった。
甘栗旬の声をモデルとなった小栗旬自身が当てる企画も好印象。もともと原作で当時流行の男性タレントをモデルにして登場させていたので、現在のタレントを持ち出す改変は原作の意図を尊重するなら正しい。それなりに俳優経験を積み重ねているおかげか、小栗旬の演技も特に問題なく。

*1:http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20081107/1226267306

*2:「吸いましょう!」という迷展開があった。