法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』ウラシマキャンデー/シールで逃げきれ!

原作ありの2本立て。来年の映画の新規映像も公開されたが、リメイク前のアニメオリジナル映画を感じさせるテイストで、やや不安を感じる。


「ウラシマキャンデー」は、つい他人を助けてしまうが報われないのび太のため、恩を返してもらう秘密道具が登場。母を助けた後で、通りすがりの中年女性を助けてあげたが……
2006年に大ベテランの三家本泰美コンテ演出でアニメ化した短編を、三宅綱太郎コンテ演出でリメイク。作画スタッフもベガエンタテイメント関係で固めて、そつのない作り。普段より描線が太く、それが竜宮姫子の人形のような可愛さと、一転したヤンデレ気質を映えさせる。
原作はもともと『ドラミちゃん』で発表され、『ドラえもん』に組みこまれたため登場人物が普段と異なる。今回のアニメ化ではドラえもんの定期検診を入れて、ズル木は類似キャラクターのスネ夫に交代するかたちで、より違和感を減らそうとしていた。最後にドラえもんが部屋で待っている描写などもキャラクタードラマとして楽しい。
スポイルされがちなドラミちゃんのゴキブリ嫌い設定を、ちゃんと結末などで拾っていたのも良かった。


「シールで逃げきれ!」は、人も物も何でも代用させられる秘密道具が登場。それを使ってイタズラを始めたのび太は、追っ手をかいくぐるためにも秘密道具を活用するが……
2011年に「のび太になるシール!?」*1というサブタイトルでアニメ化された「代用シール」のリメイク。同日に放映されたエピソードとのび太の性格が正反対に感じられるが、力の有無ですぐ態度を変える性格というべきか。
古新聞のチラシを答案として差しだす原作を延長して、トイレットペーパーの買い物を古新聞で代用してしまうアニメオリジナル描写がうまい。のび太の逃走劇も日常でありえる風景の延長で展開されて、けっこう楽しく見ることができた。