法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』アマガエール/うつしっぱなしミラー

 EDは先週発表*1されたジャイアンの新曲で固定。さらに子供たちのダンスチームでふりつけを教える実写パートがついた。


「アマガエール」は、ピクニックが雨で中止になって、その雨のなかで買い物をたのまれたのび太のため、雨が心地よくなる秘密道具をドラえもんが出す。その秘密道具をみんなにもわけてピクニックをするが……
 清水東脚本、佐野隆史コンテによるアニメオリジナルストーリー。気候変動で大雨こそ増えたが時期が毎年ずれている印象があり、梅雨時というには少し季節外れな気がする。
 先週につづいてカエルネタなのは偶然か。アマガエルにくわえて、ドラえもんの台詞にあるように雨が応援しているというダブルミーニングの秘密道具は原作らしさがある。
 買い物が濡れても気にしない問題は予想できたが、全員が秘密道具を飲んで雨に対する感覚が変わっていった展開は良かった。薄暗く誰もいない場所でのび太たちが楽しく遊ぶ寒々しい光景にSF短編『流血鬼』を思い出す。
 しかし雨に濡れたキャラクターは水の記号的な白い線を入れているくらいで、もっとハイライトを作画したり撮影を工夫したりして表現してほしかった。一応、終盤の雨季のジャングルと差別化する必要があったのかもしれないが。


「うつしっぱなしミラー」は、ひとり遊びの輪にはいらない転校生うらなりにのび太は声をかけるが無視されてしまう。帰宅するとどら焼きが置いてあり、のび太はイタズラで隠したが……
 2017年にアニメ化した別短編*2に登場する秘密道具の初出エピソードをパクキョンスンコンテ演出でアニメ化。感動的なストーリーだが、アニメで見るとあまり出来事に関連性のない構成という印象。
 ロングショットを多くして学校のクラスメートをフレームに多数いれこみ、うらなりの孤立感を浮きあがらせるコンテが地味にすごい。良いコンテではあるのだが、連続TVアニメの制作体制でこれができると信じて実際に成立しているところにシンエイ動画の底力を感じる。
 オチは原作どおりだが、現在ならスマホタブレットで一般人でも可能だろう。ただ、豪華客船といっても遠洋では気軽に通信できないし、モニターごしに通話することをあきらめる大人もいるので、まだ不自然というほどではない。