法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『世界まる見え!テレビ特捜部』世界の境目SP

冒頭のミニコーナーの最後に、カナダで起きた「パティ」論争を紹介。ジャマイカ伝統のパイ包み焼き料理のパティを移民が販売して好評をはくしていたところ、カナダでは法律上ハンバーガーにはさむような挽肉だけのものを指すという。
三ヶ月間で名前を変えるよう要求され、その問題でマスコミももりあがり、ジャマイカ総領事館からも反論声明が出ることに。1985年、関係者を集めた会議で議論を進め、パティの名前を変える要求を移民がはねのけ、ジャマイカンパティという名称で決着。現在はカナダで工場をつくり、ジャマイカに輸出するまで発展したという。
文化の国境だけでなく法律の衝突史としても興味深い。ジュースを果汁100%に限定したり、粉ジュースが例外だったりする日本の法律も想起した。


インドからは南アンダマン島少数民族ジャラワを紹介。文化を保護するために広い自然が与えられたものの、幹線道路が保護区を一部つっきることで状況が変化。
観光バスがジャラワの人々の前で停止し、報道に追及された業者は観光客を止めているが勝手にジャラワへ接触するとうそぶく。現地警官も食べ物とひきかえにダンスをさせていたことが発覚、批判がもりあがるまでは甘い処分ですまされようとしていた。
かくして政府が保護するための居住区の範囲を広げることになったが、逆に現在はジャラワ側から周辺地域の住民へ接触。携帯電話など、さまざまなものをねだるようになったという。


オーストラリアからは人気インフルエンサーのベル・ギブソンを紹介。悪性腫瘍から自然な食事でたちなおったと称してフォロワーを集め、課金アプリでライフスタイルを教えて利益をあげていた。
しかし寄付金は自称よりずっと少ないことが判明し、禁じていたアルコールを嗜んでいる写真も流出。書籍もアプリもとりさげられ、ベル・ギブソンはTV番組で嘘をついてきたことを告白するのだった……
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もちろん病歴も嘘で、わらにもすがりたい溺れる者を騙した問題も残る。罰金のしはらいも逃げているようだ。
しかし若いころから嘘つきだったという古い知人の証言が事実だとすると、ひとりの若い嘘つきをかつぎあげて、アプリや書籍でぼろもうけした関係者も問題がありそうな気がした。
罰金から逃げているインフルエンサーといえば、日本でも2ちゃんねる創始者の西村ひろゆき氏が逆にコメンテイターとして再起している現在も思い出させる。


最後は南アフリカ共和国から、アパルトヘイト末期に壁をうちやぶる音楽活動をはじめた白人女性シャロン・カッツを紹介する。
ズールー語をつかって人前で歌い、ピーストレインプロジェクトとして列車で移動しながら活動。人種の壁を超えて子供たちを集めて歌わせる。現在もメキシコと米国の国境で移民のために歌う活動などをつづけているという。
日本ではCDやDVDを見つけることができなかったが、「Sharon Katz & The Peace Train」で検索すると複数の商品やYOUTUBEの映像が引っかかる。アビー・ギンズバーグという女性監督のドキュメンタリで描かれたこともわかった。

もちろんマジョリティという恵まれた立場からの融和運動は、映画『グリーンブック』が批判されたように一種の搾取になりかねない懸念もおぼえた。
hokke-ookami.hatenablog.com
しかし命を賭して国策としての差別にたちむかいつづける女性を見て、子供たちの合唱を聞けば、心がふるえて感動してしまうことも嘘ではない。