法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

日本では朝鮮半島から難民が来るという想定ばかりされているが、いまでは日本よりも多くの難民を韓国が引きうけつつあることも留意されたい

伊東順子氏による、2015年にWEB論座へ掲載された記事を紹介しておく。
[3]アジア初の難民保護法を成立させた国 - 伊東順子|WEBRONZA - 朝日新聞社の言論サイト

 この7月末までに韓国国内に人道的な理由で在留を許可されたシリア人は621人である。これは日本の10倍以上であり、またそのほとんどが2012年のシリア内戦勃発後である。

千人に満たないのに十倍以上になるということは、日本が先進国としては難民の受けいれ数が異様に少ない結果でもある。もちろん近年に民主化された韓国も、当初は日本にならっていた。それが追いぬかれつつあるということだ*1

たまたま別件でお会いした日本のチベット難民支援プロジェクト関係者も、韓国の取り組みに感心していた。
 「出入国管理の延長で難民問題に取り組んでいる日本と違い、韓国には難民保護法という独立した法律もあります。これは積極的に難民問題にかかわるという国の姿勢ではないでしょうか」

ここだけを読めば、難民のあつかいは国内法によって各国で自由に決められるかのように誤解されるかもしれない。しかし、もちろん日本も韓国も難民条約に加盟している。国家が難民を引きうけるのは本来は必須な立場ということも忘れてはならない。


いずれにせよ、朝鮮半島から難民がくる可能性を想定するならば、それまで韓国が引きうけていた難民を日本がどう処遇するかという仮定にも目を向ける必要がある。それがリアリストにできるだろうか。

*1:もちろん韓国の難民政策にも課題がないはずもなく、伊東氏の記事で韓国内の批判が言及されている。