法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

五輪反対デモ参加者のように歪曲された男性を取材していた島田角栄氏が、NHKに抗議した文脈がまったくわからない

hokke-ookami.hatenablog.com

今回の該当部分の取材者である島田角栄氏とNHK側スタッフは、同行しつつ取材者と被取材者の立場でもあった。ならば相互の取材で食いちがいがあることに気づかなかったのか。ツイッターで問われた島田氏はNHKに説明をあずけていたが、自身の見解は何も語らなかった。

上記エントリの件について、NHKが謝罪した内容が事実と異なっているとして、島田氏が抗議文を送ったという。
www.tokyo-np.co.jp
しかし、それならば島田氏の視点における事実は何だったのか、それが抗議文からはまったくわからない。

「プロデューサーから真偽の確認をするよう指示を受けたディレクターが、男性がデモに参加する予定があると話した事を島田に確認し、それを報告した」という主旨の説明がされました。
しかし、以前より申し上げている様に、これは島田が取材した事実と異なります。

抗議文には上記のようにあるが、事実と異なるとされる文章が長すぎて、具体的にどの部分を指しているのかがわからない。島田氏の視点で否定できるのは確認されたという説明だけだろうが、それでは確認がされなかったと島田氏が抗議しているという文章とも読めない*1
抗議文だけからは、確認された内容がNHKとは違うように島田氏が考えている可能性もある。単に事実と異なると抗議したのではなく、「取材した事実と異なります」と表現していることから、島田氏の「取材」した何らかの部分について主張したいようだが、それが何なのかがやはりよくわからない。
そもそも「申し上げている」という内容が島田氏から公表されたのはいつのことだろう。島田氏の以前のどの発言を指しているのか、そしてその内容は何なのか、この抗議文では説明されていない。冒頭のエントリでツイートを紹介したように、島田氏は疑惑の声が大きくなるまでは情報の発信をひかえていたし、NHKの謝罪にいたってからも会見などでくわしく説明したことはないはずだ。


あまりに誤報の経緯が不明瞭で、関係者の主張も食い違っている。ところがNHKは謝罪文の説明をあらためるでもなく、ただ責任をすべてひきうけると新聞の取材に回答したという。

NHKは「今回は、取材制作の過程で、ジャーナリストの基本である事実確認がおろそかになったことに加えて、チェック機能がきちんと働かなかったことが原因で、島田監督には何ら責任はなく、責任はすべてNHKにあります。今後も関係者のヒアリングを続けて、再発防止に向けて取り組みを続けて参ります」と回答。放送前に事実確認があったかどうかについて、島田さんと主張が食い違っていることに関しては明言を避けた。

まるで圧力によってNHKが言を左右しているかのような状況だが、さすがにドキュメンタリ映画の別班スタッフでしかない島田氏にそのような権力や権威があるとも思いがたい。

*1:ちなみに朝日新聞の取材によると、「NHKから事前に事実確認がされることもありませんでした」と島田氏は主張しているらしい。 digital.asahi.com