法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

日米首脳が真珠湾で会談した翌日、防衛相が靖国神社に参拝した件について

http://www.asahi.com/articles/ASJDY2GLJJDYUTFK002.html

稲田朋美防衛相は29日午前、東京・九段北の靖国神社に参拝した。参拝後、記者団に対し、安倍晋三首相の米ハワイ・真珠湾訪問に同行したことに触れ、「未来志向に立ってしっかり日本と世界の平和を築いていきたいという思いで参拝をした」と述べた。稲田氏の参拝は、8月の防衛相就任後初めて。

 稲田氏は「防衛大臣である稲田朋美が一国民として参拝した」とし、「防衛大臣 稲田朋美」と記帳したと説明。

未来志向という考えのどこから靖国参拝という選択肢が出てきたのか、よくわからない。防衛大臣という立場で参拝して一国民あつかいしてもらえるという発想も、よくわからない。


ちなみに真珠湾会談の同日にも、今村雅弘復興相復興相が靖国神社に参拝していた。
http://www.asahi.com/articles/ASJDX4DYNJDXULFA00K.html

今村氏は参拝後、記者団に「仕事について報告し、我が国の安寧と繁栄を祈念した」と語った。安倍晋三首相の米ハワイ・真珠湾の訪問との関連を問われると、今村氏は「関係ない。御用納めの日に来ようと決めていた」と述べた。

安寧と繁栄を祈念したい時に、人々の安寧をゆるがし自国を焦土化させた施設に行く発想が、よくわからない。


靖国神社の問題性については、偶然にも先日、下記エントリで言及したばかり。
「国家権力と密接なカルトと、カルトの二択なら、前者を選びます」「それは二択として成立していないのでは?」「国家権力と密接なカルトは定義としてカルトではない」「あっはい」 - 法華狼の日記

靖国はカルトの性質もいくつかそなえている。
カルトとは - コトバンク

祭儀,儀式,崇拝を意味することばが転じて,特定の人物・事物を熱狂的に崇拝,礼賛すること。または,そうした行動をとる集団や教団をさす。

戦前や戦中はいうにおよばず、戦後も遺族や本人の意思を無視した顕彰をおこなっていたり、おおやけに日本の戦争責任を否認するような問題をおこしている。
靖国神社問題(やすくにじんじゃもんだい)とは - コトバンク

2005年ごろからは、靖国神社付属の戦争博物館遊就館(ゆうしゅうかん))の展示が、太平洋戦争の戦争責任はアメリカ側にあるとしていることが、欧米でも報道されるようになり、アメリカ国内からも靖国神社批判の声があがるようになった。

遊就館は批判を受けて表現を変えた時期もあったが、十五年戦争を開戦した責任が相手国にあると今なお主張し、日本の指導者も正当化しつづけている。
特集ワイド:今年の桜はキナ臭い? - 毎日新聞

「立派な若者たち」をだれが、なぜ死なせたのか。遊就館を歩き回っても答えは見えない。近現代史を説明するパネルでは「満州事変」を詳しく説明しないまま、日中戦争の主因は「(中国の)排日感情」、太平洋戦争は「米国の対日石油禁輸措置が引き金」との趣旨の説明が並ぶ。

 何よりあれだけの人命を消耗してなお、原爆を落とされるまで戦争を続けたのはなぜか、といった内省を感じない。処刑された東条英機元首相らは「昭和殉難者」と紹介されていた。

首相の真珠湾訪問と閣僚の靖国参拝を連続させることに、いったいどのような意味があるのだろうか。
あるいは、米国への従属を表明することで靖国参拝を許してもらった、という意図なのだろうか。