法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』細く長い友だち/落としものカムバックスプレー

次回予告の形式が少し変更され、一方ではなく両方のエピソードをナレーションで紹介。提供欄の背景映像とテロップで後半のエピソードを紹介する形式は変わらず。


「細く長い友だち」は、両親が北海道へ結婚祝いに出かけ、ドラえもんも数日間の用事があり、のび太がひとりで留守番することに。そこで助けてくれる秘密道具を出すと……
2010年に良好な作画演出でアニメ化*1した原作を再映像化。今回は善聡一郎コンテ、中本和樹作画監督。なぜか原画に高橋敦史。
ひと筆書きを秘密道具化したような原作に対して、こちらは実際にロープのような存在として秘密道具が描写される。鳥型になった時は反対側の羽もちゃんとあったり、傘型になった時は高速回転して雨をはじいたり。
さらに原作どおりドラえもんが用事をきりあげて帰ってくるオチを、雨にぬれながらタケコプターで飛んでくるようアレンジ。さらに玄関を開けると家が真っ暗という描写を足して、ドラえもん視点での不安感をあおる。
漫画という静止画表現をアニメに移しかえるために、原作のメタ的な表現こそ後退したものの、かわりにアニメとしてわかりやすい表現を足しており、媒体にあわせたアレンジとして納得できた。


「落としものカムバックスプレー」は、配達中のジャイアンに漫画をうばわれたのび太が、帰宅すると本棚の漫画もすべて母親に捨てられていた。かわいそうなのでドラえもんが秘密道具でフォローしていたが……
意外なことに2005年リニューアル以来、初めてのアニメ化。伊藤公志脚本に、つくしやまコンテ、田中薫作画監督
もともと単純なしっぺ返しパターンではなく、野比家と骨川家を対比して家族のありようを浮かびあがらせる構成の物語。今回のアニメでは冒頭にジャイアンの横暴を足して、秘密道具で配達がうまくできなくなる展開をアニメオリジナルで描く。
子供への叱咤のつもりで物を捨てて傷つけてしまい反省する野比母。自分の子供だけ自由にさせて他を傷つけた罰がふりかかる骨川母。横暴な子供が反撃されていたため仕事がとどこおっていた剛田母。三者三様の家族模様がおもしろい。
責任や罪の軽重、さらにその関係性が複雑なため教訓を読みとるのは難しいが、定番をずらしたことで深読みできる余地が生まれ、ドラマに味わい深さがある。