法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

今回の『AERA』のアンケートは「反日」をカギカッコに入れているし、そこまで怒らなくてもいいのではないか、という気がする

批判されているツイートを見ても、元首相で現職の与党議員である安倍晋三氏の発言を受けるかたちで、一応カギカッコつきで「反日的」と表記している。


安倍前首相が、コロナの感染拡大が続く中での五輪について、「反日的ではないかと批判されている人たちが、今回の開催に強く反対している」と述べました。反対している人は本当に「反日的な人」たちだけなのでしょうか。考えをお聞かせください。https://t.co/D7WmFNxEaR

これが2013年の韓国を論評する記事では、カギカッコに入れない地の文で「反日」という表現をつかっていた。
日韓の「潜在的時限爆弾」 2015年問題とは 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

 中国の「戦略的反日」に便乗するように「反日悪罵」を吐いている韓国。歴代大統領は就任当初は未来志向をとなえ、政権末期に反日に走るのが常だった。だが朴槿恵(パククネ)大統領は就任早々から反日全開、米中トップとの首脳会談で日本批判を繰り返し、安倍晋三首相との会談は「過去の歴史解釈が道徳的でない」と拒否し続ける。

数年前のように「反日」という枠組みを前提視せず、著名人の示した枠組みというかたちでアンケートをとっているだけでも進歩ではないだろうか。
進歩してなお問題なことには変わりない、という批判なら重々わかるのだが、同時になぜ今回はこれほど注目されているのかという疑問はある*1
日本人に対する評価としての「反日」ならば注目されるが、韓国に対する評価としての「反日」なら見逃される、というなら別の問題があるだろう。


参考として、2013年のAERA記事でコメントをよせている専門家の木村幹氏と浅羽祐樹氏が、それぞれ産経新聞や文春などのメディアで「反日」という表現をつかった例がある。
【日韓合意検証発表】「日本に瑕疵なし」証明した 木村幹・神戸大大学院教授 - 産経ニュース

反日団体の説得」や「在韓大使館前の慰安婦像撤去に向けた具体的な計画策定」など、日本側の要求について韓国政府が議論に応じていたことが明らかになった。

韓国と「友人」であることは諦めた方がいい 「ホワイト国」除外で見えた深い溝 | 文春オンライン

私は少し前から、韓国の「反日」、日本の「嫌韓」の性質が変化してきたと思っています。

 これまでの「反日」は、日本の首相の靖国神社参拝や閣僚の「妄言」など、日本側の動きによって生じるところが多かった。それが最近は、韓国側の動きによって、「嫌韓」が一気に広がっています。

AERAのアンケートと同じくカギカッコに入れているが、少なくとも記事内では無批判につかわれている。それぞれ他の表現を選んだり、わかりやすく注釈することができないとも思えない。
これもまた、他者に対しては許容していた問題が自身に向かった時のことを考えなかった結果ではないだろうか。さまざまな社会的な弱者を踏み台にしてきた東京五輪の現在のように。
怒るなら、きっともっと前にやるべきだったのだ。もちろん今よりさらに遅らせる必要はないのだけれど。

*1:注目量の一参考として、今回のツイートにははてなブックマークが13ついているが、2013年記事にはまったくついていない。