法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

「Webtoon」の勢いは台湾のgoogleトレンドを見ると少し実感できるかもしれない

どうやら「MANGA」のなかに「Webtoon」もふくまれるので単純比較はできないが、台湾での十数年間*1の変化を見れば、市場をどんどん食っているさまがわかる。
https://trends.google.co.jp/trends/explore?date=all&geo=TW&q=MANGA,Webtoon

f:id:hokke-ookami:20210530231631p:plain

世界全体でははげしく上下しながら「MANGA」が圧倒しているが、「Webtoon」が着実に検索数をのばしていることもわかる。
https://trends.google.co.jp/trends/explore?date=all&q=MANGA,Webtoon

f:id:hokke-ookami:20210530231719p:plain


韓国の「Webtoon」の売りあげは先日のエントリで紹介したように2019年時点で600億円ほどなので、日本漫画の全市場の1/10くらいだろうか。
hokke-ookami.hatenablog.com
ただし上記エントリで紹介したページでは、2018年で中国漫画の売りあげは2600億円ほど、うち4/5を右肩あがりの電子書籍がしめているという。

f:id:hokke-ookami:20210530231820p:plain

中国では規制のためgoogle検索のトレンドが信頼できないが、以前にNHKの「クローズアップ現代+」で、中国の漫画はスマートホン向けの縦書きが強いと報じられてもいた。
www.nhk.or.jp
こうした外国市場ののびがつづいているのに、日本が国内市場ばかり注力するのであれば、相当に大きな市場をみすみす失うことになるだろう。
ただ、そうした危機感を漫画業界から編集者や漫画家が発信しつづけていることで、逆に漫画ではまだ時代にとりのこされまいと期待できる。


ちなみに、私個人が追いかけているWebtoon作品は多くないし、1エピソードごとの薄さを感じることが多いが*2、映像化されると韓国実写らしいサービス過多とバランスがとれて適度になる印象がある。
たとえば『シークレット・ミッション』は、北から潜入したスパイが間抜けを演じるコメディから、圧倒的なアクションを展開するクライマックスまで現代サスペンスとして完成度が高かった。

TVアニメできちんと完成されたものはまだ見たことがないが、昨年の『神之塔 -Tower of God-』は印象深かった*3

日本のテレコムアニメーションの高い技術力による安定した映像。少年少女や青年の愛憎をちりばめた、オーソドックスなビルドゥクスロマン。途中までは素直に楽しめる。
そうして少年漫画らしく知恵と格闘で競いあう途上での、唖然とする最終回がある意味で必見。人によっては苦笑か爆笑という感想になるかもしれない。

*1:検索システムの変更が入っているので、絶対的な数字ではないが。

*2:小説家になろう」の人気作品の読み味に近い。

*3:話数単位ベストテンで選外で言及した。 hokke-ookami.hatenablog.com