日本人の多くは、かつてアングレーム国際漫画祭で従軍慰安婦性奴隷否認論をマンガとして出典した事の愚かさを理解していない。日本側がスルメロックだかはすみとしこのような絵で、内容も韓国の悪口を描いただけの下劣なマンガを出す一方、韓国は丁寧なイラストで慰安婦を問題提起するマンガを描いた。
— 青春クソ野郎 (@kayuumaatsui) 2021年12月27日
日本人の多くは、かつてアングレーム国際漫画祭で従軍慰安婦性奴隷否認論をマンガとして出典した事の愚かさを理解していない。日本側がスルメロックだかはすみとしこのような絵で、内容も韓国の悪口を描いただけの下劣なマンガを出す一方、韓国は丁寧なイラストで慰安婦を問題提起するマンガを描いた。
上記ツイートが少し注目され、はてなブックマークで批判に具体性をもとめるコメントがあった*1。
[B! 韓国] 青春クソ野郎 on Twitter: "日本人の多くは、かつてアングレーム国際漫画祭で従軍慰安婦性奴隷否認論をマンガとして出典した事の愚かさを理解していない。日本側がスルメロックだかはすみとしこのような絵で、内容も韓国の悪口を描いただけの下劣なマンガを出す一方、韓国は丁寧なイラストで慰安婦を問題提起するマンガを描いた。"
ite 「従軍慰安婦を肯定する側と否定する側が共にマンガで主張を行った」だけのことに対してこうした印象操作を行うから信頼されないんだろ。絵の印象や「悪口」「下劣」はこの人の主観でしかない。
yujimi-daifuku-2222 何というか、引用の範囲で作品のリンクくらい貼ればいいと思うのだよな。/印象論ではなく実物を見た上で、具体的にこの主張は誤りであるとか、ファクトに基いた批判をすれば良いのにね。
bemz まあ結局日本人が正しかったわけだが丁寧なイラストを書くと嘘でも信用されてしまうってことだな
当時、日本側の反論企画とされるものが話題になった時期からいくつかエントリを書いていたので、情報量が多いものを紹介しておく。
まず、韓国政府が支援して慰安婦テーマの漫画が出展されると報じられた半年後、日本側の反撃として「論破プロジェクト」という企画が産経系のメディアで好意的に報じられた。
hokke-ookami.hatenablog.com
アングレーム漫画祭についての印象や、ふたつのサンプルを見比べた漫画技術の差、「論破プロジェクト」が幸福の科学にささえられた団体といった指摘を書いた。
絵の巧拙の感想は主観といわれればそうかもしれないが、それでも技術的な差は明瞭に感じられたことは書いておきたい。
次に、アングレーム漫画祭が開催されて「論破プロジェクト」とは無関係な日本の作品がいくつか賞にノミネートされたり、「論破プロジェクト」の展示が撤去された情報をまとめた。
hokke-ookami.hatenablog.com
この年の漫画祭は第一次大戦や女性への暴力がテーマとなっていて韓国の企画と合致していることや、それをつたえる在日フランス大使館のFacebook記事が荒らされたこともふれた。
hokke-ookami.hatenablog.com
後日談として、残念ながら今回は日本作品がノミネートどまりだったことや、韓国政府が支援する以前につくられた3DCGアニメ『Her story』の技術クオリティにおどろくエントリも書いた。
hokke-ookami.hatenablog.com
『Her story』はひとりの証言を再現した約十分間の短編で、日本の歴史学的な見解と大きな乖離もない。朝鮮半島で、軍人による暴力ではなく村長にだまされて慰安婦になる描写がされていた。
そして漫画祭から半年後、「論破プロジェクト」自体が主力として出した漫画が雑誌に掲載されたので、自民党の片山さつき氏の支援やインターネットの反応もふくめてまとめた。
hokke-ookami.hatenablog.com
あまり頁数もないのに、従軍慰安婦問題にかぎらず単純な事実誤認が散見されたし、過去の国家的な性暴力を否認する漫画で少女の性的サービスシーンをいれる判断に首をかしげた。
当時は注目をあびた企画における中心作品だったはずが、単純に漫画としての質も低いので、仕事でもないのにインターネットで感想を書いた暇人は私くらいしかいなかった記憶がある*2。
その一年半後、はすみとしこ氏による難民少女の写真をコラージュしたイラストが批判的な話題になった時、「論破プロジェクト」に投稿していた漫画の感想を紹介したこともある。
hokke-ookami.hatenablog.com
とにかく「論破プロジェクト」関連作品はどれも漫画としても出来が悪かったし、それは企画者や漫画家のあまりにひどい人間観や歴史観の結果だった*3。
もし「論破プロジェクト」で応募作品を審査したさとうふみや氏が作画しなおしたとしても、表面的な絵面しか向上しなかったろう。