法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

ポケモン的な「進化」を指す適切な言葉を考えている

『のび太の新恐竜』は同じ展開でもポケモン映画だったなら佳作になりえたかもしれないけど…… - 法華狼の日記

「進化」を成長のように描写しているところも、大人が台詞で語った多様性の肯定と重なるようで、実際には対立している。強い能力を獲得することが進化というのは、まさにポケモン的な世界観であって、SF考証を基盤にした『ドラえもん』のそれではない。

映画の本格的な感想エントリを書く前に、ちょっと前からよく論争になっている件について思いつきを書いておく。


「進化」とは本来は世代をへて生物種が変化していくことを指す。生物の一体が姿を変えていくことではない。
進化とは - コトバンク

1 生物が、周囲の条件やそれ自身の内部の発達によって、長い間にしだいに変化し、種や属の段階を超えて新しい生物を生じるなどすること。一般に体制は複雑化し機能は分化していく。また、無機物から有機物への変化、低分子から高分子への変化などについても用い、拡張して星の一生や宇宙の始原についても用いられる。「恒星の進化」「陸上生活に適するように進化する」

生物の一体が姿を変えていくことを指す言葉としては、たとえば幼虫からサナギをへて成虫になる「変態」がある。
変態(生物学)とは - コトバンク

動物においては、個体発生中、胚(はい)発生を終了(孵化(ふか))してから成体に達するまでのある時期にみられる、形態や体の構造上の著しい変化を変態という。

しかしゲームなどで使用するには、実態に近い「変態」はもちろん、人間の「性徴」もちょっと性的な誤解をまねきかねないので避けたい。


「変異」と表現する場合もあるようだ。「進化」とも密接な言葉で、基本的には一世代での変化を指す。
変異とは - コトバンク

一般に広い範囲に生息する生物では,生育地による形質の違いがあり,これを地理的変異と呼ぶ。成因の面からは遺伝的変異と非遺伝的変異を区別できる。前者は遺伝子の違いによって生じるもので,突然変異もこれに含まれる。

やや恐ろしげな印象はあるものの、サブカルチャーのタイトルに使われるくらいのメジャーさもある。

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しかし「進化」ほどでなくても、やや不正確なことは変わらない。


他に一体の変化としては、「羽化」や「脱皮」といった言葉もあるが、シチュエーションがきわめて限定される。
「成長」は精神についても使うのと、変化が段階的ではないのがゲーム的なシチュエーションには使いにくい。