法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』動物変身ビスケット/進化退化光線銃

今回は前後とも原作があるエピソードの再アニメ化。


「動物変身ビスケット」は、食べた種類の動物になる秘密道具が登場。突然の来客もからんで、事態の収拾が大変に……
2005年のリニューアル初期と2011年*1にくわえて現声優による3回目の映像化。野比母を三石琴乃が演じるようになったことで、原作通りのオチに文脈が発生している。
脚本は高橋悠也が初参加。『仮面ライダーエグゼイド』の活躍が記憶に新しいが、思えばTVアニメのシリーズ構成も何度かおこなってきていて、すでにキャリアは充分か。
今回は原作よりも変身数を増やし、ライオンへの変身で危機を脱したり、フクロウの変身で母を見えなくさせるためにメガネを奪ったりと、動物のキャラクター性を活用しつつ自然に原作の流れになじんでいて良かった。さすが仮面ライダーの変身を使いこなした脚本家……というのは想像がすぎるか。


「進化退化光線銃」は、物品から生物まで進化や退化を起こせる秘密道具が登場。のび太はそれでラジカセを最新版にとりかえるが……
2006年に映像化された原作の再映像化。原作では進化を起こさせるものとして「進化退化放射線源」という名称だったが当然のように改変。厳密には退化も進化の一種だが、そこは気にしない。
社会や理科をキャラクターが身近に体験するだけのシンプルな物語だが、山口晋コンテに三輪修作画監督で、映像作品としても見どころが多い。鈴木洋介脚本の仕事かもしれないが、父親の見ている教養番組と、のび太が起こす進化退化の実験がシンクロする演出も楽しい。
ラジカセの進化の過程でiPodらしき道具に変わったり、退化させてエジソン型手回し蓄音機を動かしてみせたり、そのまま教育アニメになりそうなディテールの細かさが好奇心をそそる。原作そのままの描写に現代的な論評を足した2006年版とはまた違う良さがあった。