法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』弓やで学校へ/写真入りこみスコープ

最近は負けつづきだったドラ顔じゃんけんでしずちゃんに勝利。
本編は前後とも2005年以降初アニメ化で、脚本以外は杉島邦久コンテに斉藤秀二演出、渡辺まゆみ作監とメインスタッフが同じ。30分アニメでは本来これが普通ではあるが、まったく違う物語では負担がけっこうあるはず。


「弓やで学校へ」は、忘れた書類をとどけるため、野比父のもっている的に向かってドラえもんが弓を射る。紐でつないだドラえもんごと矢が的にあたり、書類を無事にとどけたが……
内海照子脚本。原作の初出が小学一年生なので、ムードがおだやかでのび太はバドミントンをそれなりに楽しみ、しっぺ返しにもあわない。
今回のアニメ化ではジャイアンスネ夫は無理やり秘密道具をうばうのではなく、ドラえもんをどら焼きでつって別の弓矢をもらうことに。それで弓矢が足りない場面もあったり、野比父の出張している新幹線を意図せず追うことになったり。ドラえもんとかちあったことで、結果的に原作の秘密道具「空飛ぶうす手じゅうたん」*1で助けてもらう。
しかし暴力が減ってるだけ穏やかになったかというと、そもそもジャイアンスネ夫は今回のアニメでは特に悪事をはたらいていないのに原作以上にひどい目にあいつづけているので、しっぺ返し的なバランスを感じない。普段の非道を考慮した描写だとしても、1エピソード内でそれをうかがわせる描写は入れるべきではないだろうか。


「写真入りこみスコープ」は、野比家でハイキングした時の写真を見返していて、双眼鏡がなくなっていることに気づく。どこで誰がなくしたのか、写真に入れる秘密道具をつかうが……
カラー作品を2005年以降初アニメ化。永野たかひろ脚本。原作ではすぐ双眼鏡を見つけて、しずちゃんをさそって写真内のハイキングを楽しむ。これも初出が小学一年生なので、オチ以外は読者にストレスをかけない。
今回のアニメ化では、アルバムに残した写真のどこで双眼鏡がなくなったか一枚一枚しらべて、映ってない範囲まで調べられる秘密道具の機能を活用。のび太と双眼鏡を融通していたドラえもんも巻きこんだりする。秘密道具で調べられるのが写真を映した瞬間から少しの期間だけという制限も謎解きをおもしろくする。写真の片隅にうつっていた手がかりが露骨なので、双眼鏡が消えた経緯は想像がついたが、それもふくめて子供の視聴者には楽しめたのではないだろうか。
原作では水遊びにつかうだけの秘密道具「モーターたらい」を猿の追跡に活用して、それから遊びに転用する結末も無駄がない。「モーターたらい」の動きや水飛沫のなめらかな透明感が良くて、作画として目を引いた。

*1:名称は登場せず。