法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』ネズミ年だよ!ドラえもん/出てくる出てくるお年玉

2019年最後の放映。かつては大晦日のゴールデンタイム2時間SPが恒例だったのに、どんどん枠が縮小され、とうとう通常回の通常枠になってしまった。
2020年1月の放映も11日とやや遅く、せっかくのネズミ年という12年に一度しかないネタを前倒しで消費してしまったのも残念。


「ネズミ年だよ!ドラえもん」は、ドラえもんが嫌いなネズミモチーフがあふれる新年を回避するため秘密道具を出す。いったん強化された恐怖心を押しつけられ、のび太はパニックを起こし……
2007年末の正月SPで「もうすぐネズミ年だよ、ドラえもん」としてアニメ化した短編を、佐藤大脚本と木野雄コンテ演出でリメイク。原作「『スパルタ式にが手こくふく錠』と『にが手タッチバトン』」の時点でふたつの新しい秘密道具をミックスしているところが面白い。
今回は、ためらうドラえもんのび太が「スパルタ式にが手こくふく錠」を飲ませるテンポが良かった。『トップをねらえ!』のバスターマシン3号を思わせるデザインの「銀河はかいばくだん」もマニアックで楽しい。
苦手意識をのび太に押しつけたことで、ドラえもんがネズミと仲良くなるアニメオリジナル描写も良かった。いつもの反動でペットのようにかわいがり、野比玉子に捨てるよう命じられるほど。
しかし、いくら苦手意識を強めたといっても、「中学生」などの「ちゅう」という音声だけでパニックになる展開には無理を感じた。原作通りネズミ顔やペットを登場させるだけで良かったのでは。


「出てくる出てくるお年玉」は、お年玉が周囲よりも少ないことになげくのび太のため、さまざまな理由でお年玉をもたらす秘密道具をドラえもんが出す。しかしその秘密道具は条件が厳しく……
同名の短編が原作で、意外なことに2005年以降で初のアニメ化らしい。伊藤公志脚本で、原作の構成はそのままに、秘密道具の設定にそって応用を増やしていく。
のび太の選ぶお年玉ぶくろが裏目に出つづけるギャグは原作通りだが、同行するドラえもんが「まつ」を持ちつづけてトラブルに巻きこまれるたびにお年玉をもらえるコントラストが楽しい。
しかし原作を幼少期に読んだ時は気づかなかったが、痛みへの慰めでお年玉が出る「まつ」の最高記録が半年入院して1万円少しというのは、現代の生命保険にも負ける*1。もっとも記録を目指したチャレンジ的なものだったかもしれないし、未来社会であれば治療費は不要なのかもしれないが……いや、ほとんど万能の治療道具がある未来で半年入院というのも、考えてみるととんでもない状況か。

*1:原作では千円台なので、今回のアニメはこれでも増額されている。