法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『世界まる見え!テレビ特捜部』食欲の秋SP

今回は珍しく、ほとんど2つのドキュメンタリーの紹介だけで終わった。冒頭のミニ映像コーナーも短く、タイトルからすぐに本題に入ったくらい。


まず、スーパーマーケットの食材だけを使い、さらに複数の厳しい条件下で料理の完成度を競う番組が紹介された。約1年前に紹介された時もおもしろかったが、それきり放映されなかったので残念に思っていた。
『世界まる見え!テレビ特捜部』世界の腹ペコさん&まさかの"食"スペシャル - 法華狼の日記
4人の料理人が3戦して1人ずつ脱落し、勝者が210万円の賞金を手にする*1。今回は番組枠の半分以上をつかって、ひとつひとつの調理の工夫と制限内での葛藤を描写。料理コンテスト番組として前回以上に楽しめた。
1戦目のお題しか公開されない最初に3戦全ての食材を、以降のお題を予想しながら買わなければならない。調理時間は30分ほど。そこで条件のきびしいアウトドア料理をこなす料理人や、高級レストランシェフが多様な知識と技術で切り抜けていく。
食材を決め切れずに時間オーバーぎりぎりで調理したため、ソースのタマネギを同サイズに刻むことができなかったり、トルティーヤを焼く時間が足りずにランチとしてはボリュームが不足したり。そうした調理シーンの細かな失敗を伏線として、敗北の基準に説得力がある。
少ない食材をおぎなったり時短するための小技もたくさん紹介され、家庭料理に応用が効きそうなレシピも多かった。いつものダイジェスト放映ではない、じっくり紹介したからこその良さも感じた。番組コンセプトに反しているとは思うが。


次に、オーストラリアの料理人が世界の辺境で郷土料理を食べて、文化を知ると同時に刺激を受けて、帰国後に応用した新たな料理をふるまう番組を紹介。
美味しんぼ』でクイーンズランドを舞台にしたエピソードを思い出した。まず食文化の紹介としておもしろく、それを応用した美食の工夫がまた楽しい。

今回はバヌアツにあるタンナ島で、いまも半裸で生活をつづける少数民族ヤケル族の世話になる。タロイモとバナナとココナッツミルクを練って、葉に包んで青竹につめて焼いた主食「ラップラップ」。タロイモのチマキといったところだろうか、料理人は食感を楽しみつつ味が薄いと評したものの、常食する主食としてはそれが正解なのだろう。
他にも鶏を葉っぱで包んで温泉につけて茹でたり*2、焼けた溶岩石に葉っぱをかぶせて豚をおき、土をかぶせて蒸し焼きにする料理など。これは完璧に『ドラえもん のび太の日本誕生』で描かれた古代の料理と同じだ。
帰国した料理人はタロイモの食感をいかすように薄くスライスしてバーナーで焼いたり、もちかえった溶岩石でチキンを遠赤外線調理したり、ラップラップに豚肉を入れて食べごたえのあるメインディッシュにしたり……


今回はどちらも恒例になってほしいくらい楽しかった。コーナー化しないのは恒例化できない特番だったりするのだろうか。

*1:最後に明かされるが、実際はスーパーマーケットの食材が答えとなるクイズにチャレンジする権利が与えられる。

*2:見たかぎり沸騰するほどの高温ではないので、低温調理に近い状態だと思われる。また、塩分をふくんだ泉質なのか、塩味がついて美味しいと料理人が指摘していた。