法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『DESTINY 鎌倉ものがたり』

亜紀子の嫁ぎ先の鎌倉は、奇妙な存在が住みつきながらも、楽しく穏やかに日々がすぎていった。
しかしある日、亜紀子が事故死して黄泉の国へ行ってしまい、夫の正和は助けようと奔走する……


山崎貴監督による2017年の日本映画。同じ西岸良平作品を映像化した代表作『ALWAYS 三丁目の夕日』を思わせるノスタルジックなドラマから、VFX満載の異界めぐりがはじまる。

作家性がありつつ一般受けした作品を、ストーリーや設定をマイルドにして、違う原作をつかって映像化した*1……そう感じるような良くも悪くも山崎貴監督らしい作品。
「DESTINY鎌倉ものがたり」が14日に中国で公開 「黄泉の国」は中国がモデル--人民網日本語版--人民日報

山崎監督率いる制作チームは世界各地に足を運び、最終的に中国の湖南省張家界にある武陵源鳳凰古城に2ヶ月滞在して取材し、独特の雰囲気が漂い情緒ある「黄泉の国」の世界観を創り出した。

異界の風景は『アバター』と同じく武陵源がモデルとされているが、広い空間を路面電車で異界に向かうシチュエーションや、クリーチャーに追われるシーンからすると、『千と千尋の神隠し』のイタダキとしか思えない。
ミニチュアと3DCGを組みあわせた異界表現やアクションは日本映画としては見どころがあるが、フックとなるフェティッシュさが映像に感じられないのが残念なところ。

*1:BALLAD 名もなき恋のうた [Blu-ray]』のみ、ノンシリーズにしてほぼそのまま実写化。