弁護士の渡辺輝人氏*1が選挙運動について、当日の運動が禁止されていること自体がおかしいとツイートしていた。
選挙当日の選挙運動についていえば、禁止されている方がおかしいので、そこをかいくぐるためにツイッターで涙ぐましい努力をしているのをボコボコ叩くと、表現の自由の基盤を損なう。
— 渡辺輝人 (@nabeteru1Q78) 2020年7月6日
タイミング的に立憲民主党が宇都宮健児氏の支持を間接的におこなったことへの論評と解されて、リプライや引用リツイート*2などで非難されている。
そうした非難において、小池百合子氏などの対立陣営ならば渡辺氏は批判しなかっただろうという評価もされている。ごく一部のツイートを引用しよう。
小池や桜井誠の陣営が同じことやったら、渡邊さんは批判するでしょうよ。
— ネギ (@N0czouPQ3SU9Ymb) 2020年7月7日
都合が良いときは「法を守れ!」、都合が悪い時は「法制度が問題!
— もりかけ (@PxRAu990oSW6sIl) 2020年7月6日
野党系候補・野党系支持者のそういう体質を、都民・国民は見抜いてるから、安倍や小池が圧勝するんだと思いますよ。
※ただし、非自民に限る ←が抜けてますぜ https://t.co/Yk9rDu6Gg8
— フフン (@atsushigo) 2020年7月7日
もしこれを自民党がやったら絶対に叩くくせに
— 丸井ぷよ草二郎(ニュータイプ) (@moti2motare2) 2020年7月7日
もし本気なら自民党がやっても叩かないって言ってみてほしいなhttps://t.co/uKX4XxWRvEー
しかし脱法的な選挙運動をおこなったら落選するのであれば、それを半月ほど前におこなっていた小池氏はなぜ当選したのだろうか。
見ろよ、東京都内に貼られまくってるこのポスターを。「選挙期間外の選挙活動を禁じる」という公選法の趣旨を踏みにじる事実上の〈脱法ポスター〉。自分の当選の為ならこんな姑息なことだってやっちゃうこの人物の、一体どこを信用しろというのだ。 pic.twitter.com/yXqT5b93HZ
— さよなら昨日の私 (@SaYoNaRaKiNo) 2020年6月24日
そして渡辺氏は、小池陣営が脱法的な選挙運動をおこなっていたことについても、公職選挙法にこそ問題があるとツイートしていた。
これについて言うと、選挙期間中の表現の自由を規制する公職選挙法の方がおかしい(これは治安維持法とセットになった戦前の衆議院選挙法の残滓です)ので、各陣営、知恵を絞って候補者を押し出す宣伝をする方に注力していただきたい。 https://t.co/aNFAHX3WeZ
— 渡辺輝人 (@nabeteru1Q78) 2020年6月24日選挙期間中こそ、表現の自由が最も保障されなければならないのに、実際には選挙期間が近づくほど表現の自由が制限を受け、選挙期間中がもっとも規制を受ける。
— 渡辺輝人 (@nabeteru1Q78) 2020年6月24日我々は、戦後75年経っても、まだ明治憲法下の治安維持法制と闘わなければならないのである。公職選挙法における選挙運動規制の部分は、日本国憲法の下での統治体制が最もゆがんでいる部分の一つだろう。
— 渡辺輝人 (@nabeteru1Q78) 2020年6月24日
具体的なツイートへの反論として、投票日に近づくほど表現が制限されることを問題視し、治安維持法との歴史的な関係性を連続して語り、ずっと力をこめている。
他にも渡辺氏は数年前のYAHOO!個人記事で、自民党の脱法的な選挙運動を指摘した時、他党には制限をかける政権与党の特権性を批判しつつ、「規制すること自体がおかしなこと」と明言した。
自民党の選挙当日の新聞広告は選挙犯罪ではないのか(渡辺輝人) - 個人 - Yahoo!ニュース
自民党の今日の広告が許されるのなら、投票所の前で、各政党が、例えば消費税増税に反対する署名を集めたり、残業代ゼロ法案に反対するアピールを行うことも特に問題ないことになるはずです。安倍政権は、自ら、暗黙の了解を破ることで、選挙当日まで「事実上の選挙戦」(選挙の公示前にマスコミがよく使う表現ですね)が行われる途を開いてしまったように思われます。すでに述べたように、もともと、選挙運動のあり方について法律であれこれ規制すること自体がおかしなことなので、それはそれでありなのかもしれません。
さすがに元法相の金銭授受などは問題外だろうが、渡辺氏の主張は公職選挙法に根本的な問題があるという立場で一貫している。
表現の自由を求めるとは、本来こういうことなのだろう。必ずしも同意する必要はないにしても、尊敬すべきふるまいだと私には感じられた。