公益社団法人の入退会が関係政治団体と同時という、その迂回方法が許されているところまでは自由で民主な国だな、という感想になってしまう。
日本歯科医師連盟とは - コトバンク
2004年、汚職・闇献金などにより当時の会長ら多数が摘発され、15年9月30日には前会長ら3人が政治資金規正法違反の疑いで逮捕された。
それでも違法な献金などをしなければ事件化されることはなく、組織は現在も存続して政治家を支持している。山田宏氏などが代表的な推薦対象だ。
国会議員 – 日本歯科医師連盟
他に公益社団法人の日本医師会も政治団体をもち、民主党への政権交代時もふくめて自民党を支持しつづけてきたことで知られている。
日医連ニュース
日本医師連盟は、学術団体である日本医師会の会員を中心とした政治活動、とくに選挙活動を担う政治組織です。その支持政党については、平成十四年に策定された活動方針に、「政権与党である自由民主党を支持する」、「ただし、各都道府県医師連盟の特性を充分に理解し、自主性を排除しない」と記載されています。日本医師連盟は、この方針に基づいて自民党を支持してきました。
さらに、今回の総選挙では、新たに「衆議院議員選挙に臨む方針」を策定し、「自民党を中心とした政権与党の候補者を推薦する」と踏み込んだ表現に修正しました。
単純に政権与党の権力に期待しているだけでなく、緊急避妊薬への忌避など、自民党と保守的思想を共有していそうな側面もよく指摘されるところである*1。
[B! 男女] フランス、緊急避妊薬を全ての女性に無料化 医師の処方箋無しでも | 毎日新聞
id:sophizm 統一協会を絡めたコメントに星が集まってて、確かに彼らの主張には整合しそうだけど、そんなことよりこの件は明白に仕事を奪われることを懸念する日本産婦人科医会と同会が票田の自民党の問題。見誤るなよな。
また一般社団法人では、日本アニメーター・演出協会「JAniCA」が前回の参院選で推薦した候補者の選定が話題になったことが記憶に新しい。迂回する団体をつくることすらしなかった。
www.janica.jp
インボイスをめぐる疑問点や、表現の自由の観点から、一部のアニメ関係者からも候補者の選定が批判されていた。支援事業受託にまつわる利権なども疑われていた。
hokke-ookami.hatenablog.com
しかし推薦すること自体が公職選挙法に抵触するかのような批判は見かけなかった。そもそも「JAniCA」が選挙で候補者を推薦することは前回がはじめてではない。
これらの団体の支持対象が共産党になったとたん、推薦すること自体が公職選挙法違反ということになると解釈されるのであれば、そういう社会なのだな、という感想になる。
念のため、ここでは団体が支持を表明すること以外の適法性について個別の論点にはふみこんでいない。社会がどうあるべきという話でもないし、現状の法律やその解釈が正しいという話でもない。
*1:厚労省の検討会議で当事者の意見が2021年から受けいれられるようになり、アクセスのしやすさが変わることが期待されている。 www.hurights.or.jp それに先立つ2020年に、菅義偉政権の閣議決定した「第5次男女共同参画基本計画」や、日本医師会も過去に比べてやや前進する見解を表明していた。 www.med.or.jp 安倍晋三氏の退陣と同時期なのは偶然だろうか。なんらかの政治思想の反映を憶測することもできるが、新型コロナ禍という同じ原因で社会の切迫感が増した結果として同時期になったと考えるべきかもしれない。
