法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』記念日シール/やりすぎ!のぞみ実現機/映画ドラえもん のび太の月面探査記

せっかくの昨年映画の初放送日なのに、冒頭でドラえもんが映画の延期を告知。
同日放映だが、今年の映画は3時間枠ではなく、枠を分割した別番組として告知された。


「記念日シール」は、カレンダーが間違いだと主張し、ジャイアンのび太が恥をかく。さらに知ったかぶりで重ねた恥をなかったことにするため、口走った記念日を現実化するが……
清水東脚本による、いかにも2020年オリンピックに便乗するかのようなアニメオリジナルエピソード。作者が苦手だったためか、原作では体育そのものを称揚するようなエピソードは滅多にないのだが。
新型コロナで五輪の延期が確実視される時期に放映されたことも、ちょっと風刺としてもタイミングが悪い。ステロタイプな各国描写も、五輪の開催国の意識の遅れを痛感させる描写だ。明らかな肉のダジャレでつけた記念日に、町内限定とはいえ世界中の人が集まって競争すること自体も、ギャグアニメとはいえ違和感がひどい。
せめて原作短編「ぐうたらの日」*1に出てくる秘密道具「日本標準カレンダー」とオプションの「休日シール」をつかえばいいのに、わざわざ完全な新道具「記念日シール」を設定したのも良くない。一応、シールがはがれかけて多重の意味をもつ記念日になるというオチでは、何も書きこまず願うだけでいい「休日シール」では不可能なのだが、そこは細かい設定ができる別オプションとして「記念日シール」を出せば良かったのではないだろうか?
ただひとつだけ、出木杉の説明にあわせて映像で地球を動かしてうるう年を解説した描写は良かった。コンテ担当は佐野隆史。


「やりすぎ!のぞみ実現機」は再放送。冬に札幌ラーメンを食べに行く有名な導入のおかげで、時期的には違和感がない……かと思いきや、ドラミちゃんがドラえもんへプレゼントする場面で「メリークリスマス」と叫んでしまっている……
hokke-ookami.hatenablog.com
ただ、中盤に出前の札幌ラーメンを頭からぶっかけられ、かんちがいしたジャイアンに殴られる天丼ギャグや、終盤の学校に行かずにすむよう願う微調整をくりかえす天丼ギャグ追加などのアレンジは、改めて見ても巧いと思った。


「映画ドラえもん のび太の月面探査記」は、やはり2010年代の終わりを告げるアニメ映画として歴史的な作品だと思う。
hokke-ookami.hatenablog.com
もちろんTV画面でも楽しめるだろうが、空想が消えて殺風景になった月面の寒々しさなど、映画館の暗闇で見てこそ印象深い描写が多い。
TVで見る時も、健康状態に気をつかいつつ照明を落として鑑賞するのが良い作品だと思う。

*1:2005年のリニューアル後は2006年にアニメ化。