2025年1月のTVアニメ。スーパー戦隊パロディと異世界召喚のクロスジャンル漫画を川口敬一郎監督がそつなく映像化した。
数十年にわたる長期シリーズの1作目のパロディをさらにパロディしていくことで全体の平均や現状から乖離したり、シリーズ全体の多様なイメージをつかみきれないまま反転しようとして既存作品とかぶってしまいがちなスーパー戦隊パロディ。そこでこの作品は販促スケジュールにふりまわされる都合を揶揄しすぎずに最近の十数年のイメージを抽出できているところが珍しい。この大人の愛好しつつも冷静な感じが出ているパロディとなると他には『トクサツガガガ』くらいしか知らない。
内容もチート主人公による異世界ファンタジー冒険劇として嫌味がなく悪くなかった。スーパー戦隊と異世界ファンタジーの住人それぞれがたがいの不合理にとまどいながらも嘲笑はせずリスペクトしようと努力しているのが良いのだろう。
制作会社ののサテライトは必ずしも制作リソースが潤沢とはいえないが、川口監督作品らしく無理をしていないので、第1話で示した水準で安定した画面で見ていられる。現代の特撮ヒーローらしく装飾の多い主人公キズナレッドの名乗り上げだけは精緻な作画で滑らかに動かすことで、異世界ファンタジー世界に戦隊ヒーローがそのまま現れた異化効果が生まれている。
ただサテライトのオリジナル作品『創聖のアクエリオン』とのクロスオーバーは、ファンには好評だったらしいが、カメオ出演くらいの温度感で特に良いとも悪いとも思わなかった。あっさりぶりが近年のスーパー戦隊の過去ヒーロー客演と似ている感じはあったが。あとライバルの転落劇が悪ふざけレベルでしつこいのも、スーパー戦隊に参加していた脚本家が本家のノリそのままにやっていて、あまり好みではなかったな。
