法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』クリスマスはおかしの家で/やりすぎ!のぞみ実現機

今年最後の通常放映。オリジナルの前半と、再アニメ化の後半のどちらも季節ネタ。作画もなかなか良好だった。


「クリスマスはおかしの家で」は、いつもの5人が骨川家に集まってクリスマスパーティーを開く。お菓子の家を作ることとなり、スモールライトで小さくなるが……
アニメオリジナル恒例のミニサイズ冒険譚*1と、季節イベントの組みあわせ*2清水東脚本に、堂山卓見*3コンテ演出。
まず後半の感想をいうと、ドラえもんがネズミのオモチャに驚いて四次元ポケットを失ってしまい、お菓子の家に閉じ込められてからの知恵を使った脱出劇は悪くなかった。サスペンスの発端となるネズミのオモチャも、クライマックスの展開も、飼い猫のチルチルがかかわっている。ちゃんと最初から配置されている設定を使って、無理なく状況を転がしていく。コテを使えば菓子を吸収できる設定も、エネルギー切れという展開でツッコミどころをつぶす。
しかし前半のお菓子の家を作る場面は、もっと手作り感のある描写がほしかった。使う秘密道具は専用の「おかしの家建築機」。縮小せずに作るのは土台だけで、スモールライトを使ってからはコテが自由自在にお菓子を生み出して加工していく。柱や壁や屋根くらいはミニチュアとして作って現実でも可能な範囲で楽しませ、細部の仕上げと実際の利用のために縮小するという展開にすれば、二段階で楽しめたはず。それを描写するには30分枠いっぱい使えないと難しいとも思うが。


「やりすぎ!のぞみ実現機」は、サッポロラーメンを現地で満喫したというスネ夫を無視して、のび太はテスト勉強しようとする。しかし秘密道具を使うのだろうとジャイアンがかんぐって……
2010年にアニメ化*4された後期短編から再アニメ化。つい最近の気がするが、対象年齢からすると2010年に物心がついていない視聴者も多いか。
まず、後期原作のため、秘密道具の存在を前提としてサブキャラクターが行動し、その先入観に主人公が困らされるという構図がメタで楽しい。物語の流れとしては原作通りなのだが、サッポロラーメンを食べようとしてしずちゃんを巻き込むオリジナル描写を追加し、その失敗がさらにジャイアンをかんぐらせるという構成の強化に感心した。展開として自然で、原作部分とのつながりに違和感がない。
また、2010年版は原作通りの大地震そっくりな情景が大竜巻と説明され、自主規制を疑わせた大災害だが、今回は隕石落下という描写に。ひょっとして放映予定の『君の名は。』を意識したのかもしれない。
釘宮洋コンテも良かった。冒頭の札幌旅行は絵を動かさずとも情感たっぷりなレイアウトで、中盤のジャイアン事故危機は位置関係がわかりやすく、終盤の隕石落下の作画も地味に細かい。