法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『相棒 Season18』第12話 青木年男の受難

いきなり休んだ青木の電話により、借りていたという本が杉下に返された。しかしその本を杉下が貸したことはなく、青木は誰かに拉致されたと推理される。
青木がハッキングしているのは警察の内部資料。その二つの事件で犯人は早々に罪を認めて服役しつつ冤罪の疑いがあるが、調べる関連性がはっきりしない……


児玉頼子脚本。青木の拉致は早々に推理されて、犯人が青木に何をさせたいのか、それで逆算される犯人像は何かが謎解きの焦点となる。
物語の構造はメタミステリとして古典的といっていいが*1、それを一種のミッシングリンク物として展開したのが面白い。関連性はあからさまなのだが、犯人の意図がわからなければ気づけない。どちらか一方がミスディレクションかと思い違いさせられる。
立場のわりに目立っているゲストキャラクターが真犯人という真相も、表面的に装った性格の中身が凶悪というパターンではなく、見たままの性格ゆえの犯行だったのが一周まわって意外だった。


ただ、真犯人に対して杉下がはげしく指弾するのだが、たしかに一般人よりも重い責任があるとはいえ、その批判のすべてが杉下にもしばしば当てはまることへの留意が見えないことは気になった。
インターネットで感想を見ても、少なからず指摘されている。せっかくなら、今回あまり活躍しなかった冠城にチクリと指摘させるくらいの出番を与えても良かったのでは。

*1:『ブラウン神父』シリーズが代表。