法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

麻生太郎氏、同レベルの事実誤認をくりかえし公言することで、成人式での自説を自ら反証する

麻生太郎氏「日本は2千年、一つの民族」政府方針と矛盾:朝日新聞デジタル

13日の国政報告会の中で、昨年のラグビーワールドカップ(W杯)の日本代表チームの活躍に触れ、「いろんな国が交じって結果的にワンチームで日本がまとまった」などと指摘。その上で「2千年の長きにわたって一つの場所で、一つの言葉で、一つの民族、一つの天皇という王朝が続いている国はここしかない。よい国だ」と述べた。

「結果的に」という表現を入れているとはいえ、国がまじりながら「ワンチーム」でまとまったことを、たぶん肯定はしているのだろう。それなのに、つづけて「一つの民族」を賞賛する意図がわからない。「ワンチーム」を賞賛するなら「八紘一宇」をもちだしたほうが、まだしも文脈の一貫性はある。もちろん一貫性があればいいというものではないが……
2000年という期間もよくわからない。皇紀として伝説から考察された天皇の歴史は2700年近くあるし、逆に史実では皇統はいったん断絶していると考えられているし。なぜ宗教と史実の中間的な数字をあげているのだろうか?
もちろん、王朝という階級制度がつづいていることを、仮にも民主国家の選挙で政治家になった人物がなぜ肯定するのか?という原理的な疑問もある。


朝日記事で指摘されているように、麻生氏の主張は今回が初めてではない。

総務相時代の2005年にも「一文化、一文明、一民族、一言語の国は日本のほかにはない」と発言し、北海道ウタリ協会(当時)から抗議を受けた。

それどころか、他国の人種への蔑視につながる中曾根康弘発言以降、くりかえし批判されながら保守政治家に根づいた観念である。
そしてこの朝日記事には、前日の成人式における主張についても言及している。細かい説明はないが、きっと皮肉の意図だろう。

「皆さんがた、もし今後、万引きでパクられたら名前が出る。少年院じゃ済まねえぞ。間違いなく。姓名がきちっと出て『20歳』と書かれる。それだけはぜひ頭に入れて、自分の行動にそれだけ責任が伴うということを、嫌でも世間から知らしめられることになる。それが二十歳(はたち)だ」と発言している。

姓名がきちっと報道で出て、一般的な成人よりも重い責任があるはずの立場で、同じような誤認をくりかえす麻生氏……