法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『相棒 season20』第14話 ディアボロス

こてまりの友人に、世界的に評価されるフラワーアーティストがいた。しかし婚約中の恋人が殺され、三年前にも婚約予定の女性が行方不明になったことも判明する。さらに生け花の家元がフラワーアーティストを敵視していたらしい。杉下は一連の出来事の背後に「悪魔」が暗躍しているというが……


亀山薫がいなくなった後は別作品に移っていた岩下悠子が、ひさびさの脚本。社会派要素の少なさがシリーズ初期を思い出させる。
今回の杉下は和製シャーロック・ホームズらしく、ささいな手がかりから他人の行動を的中させる描写が多い。当然のように殺人事件の真犯人も、珍しい知識をつかった論理の飛躍で指摘した。それだけなら、もっと視聴者に知られた花の品種を手がかりにつかうか、伏線的に説明する描写がほしいところ。
しかしすべての真相があばかれ、真犯人が罪を認めて連行された後、真犯人のささいな行動の矛盾から杉下が「悪魔」の動機について別の可能性を語る。なるほど、ここまで欲に魅いられた真相であれば「悪魔」と表現されても理解できるし、その動機について推理できる手がかりは視聴者にすべて開示されている。
たぶん最初からその動機を推理していれば、やはり陳腐という印象にとどまったかもしれないが、「悪魔」が他人だけでなく自分の人生までささげた描写が直前にあるので、ぐっと印象的になった。フラワーアートにくわしくない素人としては劇中の作品も充分に説得力があり、今回はこういうドラマとしてよくできていたと思う。