北方領土交渉が完全に暗礁に乗りあげながら、プーチン大統領に対する安倍首相の呼びかけが奇妙に友好的にすぎると話題になっていた。
令和元年9月5日 東方経済フォーラム全体会合 安倍総理スピーチ | 令和元年 | 総理の演説・記者会見など | ニュース | 首相官邸ホームページ
日露の新しい協力関係は、我々二人の努力によって、着実に、その姿を見せつつあります。そしてその先に、平和条約の締結という歴史的使命がある。未来を生きる人々を、これ以上、もう待たせてはならない。ゴールまで、ウラジーミル、二人の力で、駆けて、駆け、駆け抜けようではありませんか。歴史に対する責任を、互いに果たしてまいりましょう。平和条約を結び、両国国民が持つ無限の可能性を、一気に解き放ちましょう。
なぜ「走り抜けよう」という表現にしなかったのかと思ったが、スピーチライターをつとめる谷口智彦氏の雑誌への寄稿で、似た表現が使われていたという指摘があった。
たとえこれが原型でなくても、寄稿している雑誌の質そのものが、大いに問題であるといわざるをえないが。そこに官房長官の菅義偉氏まで寄稿していることも暗澹とさせられる。
ちなみに、谷口氏の寄稿と同時期に、朝鮮半島をめぐる協議でロシアが日本を外しているという報道もあった。
朝鮮半島問題、5カ国協議の必要性で一致=ロシア - ロイター
ロシア外務省は10日、朝鮮半島の緊張緩和のため、米国と韓国を交えた5カ国協議が必要だとの認識でロシア、中国、北朝鮮が一致したことを明らかにした。
今になって思うと、G7直後の米朝会談を日本が知らされていなかったことや、その後から米韓が衝突しても日本は存在感を示せないように見えることの、伏線だったようにも感じられる。
この報道は安倍氏の中ではどう処理されているのだろうか。
そもそもプーチン大統領は、上記の報道や北方領土に限らず、日本に対して極めて冷淡かつ強請にふるまっているように見える。よく日本との対立が報じられる文在寅大統領などと比べても。
もともと国家としても対立をつづけた歴史が長く、共産主義を捨てても全体主義に戻っているロシア。それに対して、なぜ安倍氏は無条件なまでに友好的にふるまい、それを批判するメディアが少ないのだろうか。