法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

つまり「逆さ地図」を自衛隊が今つかっている理由って、当初の意味を忘れた惰性でしかないわけ?

あくまで富山県愛郷心をかきたてる目的でつくった「逆さ地図」だが、なぜか中国との地理的な対立の説明にもちいられている。
hokke-ookami.hatenablog.com
よくつかわれる「逆さ地図」は富山県を日本の中心においているため、むしろ中国との位置関係はわかりにくく、誤解をまねくのに。

海岸線で日本列島に面しているのは大半がロシアと朝鮮半島だ。「逆さ地図」の印象と違って、中国の海岸線の半分は日本とまったく面しない南方に広がっている*3。

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しかし時事通信の報道によると、自衛隊でも上記のような目的で「逆さ地図」がつかわれつづけているという。
www.jiji.com
使用方法の妥当性を疑わない筆致に疑問をおぼえながら読んでいると、なぜ防衛目的でつかわれたのか理解できる記述につきあたった。

防衛省自衛隊では20年ほど前から、日本列島が大陸側からどう映るかを視覚的に理解するため使われるようになった。

 当初は「対ロシア」の文脈で用いられることが多かったが、中国の海洋進出が目立つようになるにつれて徐々に変化。今年7月に公表された防衛白書では、中国軍の艦艇や航空機の動向を解説する中で掲載された。

なるほど、対ロシアの防衛意図でもちいられていたのならば、「逆さ地図」を象徴的につかうことが少し理解できる。
どの季節も氷で閉ざされない不凍港として有名なウラジオストクやナホトカは、朝鮮半島との国境近く、ちょうど日本海の中心にあるのだ。

不凍港から外海へ出るためには、北は近くとも北海道と樺太の海峡をとおるしかないだろうし、南は西側陣営の韓国と日本の中間をとおらなければならない。いずれにしても日本列島が物理的な障壁となり、中国とは出入りの自由度がまったく異なる。
もし当初のそれなりにあった意味が忘れられ、対中国の時代に安易に流用されつづけ、目的にそった位置関係の調整がされてないだけだとしたら……良くも悪くも硬直した組織によくある問題でしかないのかもしれない。