「チリ~ボリビア鉄道」は、南米を横断する鉄道路をイギリスの鉄道マニア司会者が旅をする。
あたかもスイッチバック式がここにしかないかのような表現など、ところどころ番組が独自につけたであろうナレーションの表現は気になったが、多様な情景は見ていて楽しい。ウユニ塩湖の美しい風景のなかで錆びていく古い機関車など、写真くらいでしか知らい風景を、そこに生きる人々の証として映し出された。
「カナダ鉄道24時」は、北米の寒冷地で鉄道網を維持するために奮闘する仕事人を紹介。
ヘリで爆薬を投下して雪崩をあらかじめ崩したり、線路を封鎖するような巨大な氷を破壊したり。そのような過酷な環境そのものが情景として美しくもあった。
「ネパールの鉄道」は、インドとネパールの国境をとおる老朽化した鉄道を紹介。
80年も前に開かれたが、線路も列車も老朽化をつづけて更新できず、乗務員らの給料も数ヶ月にわたって支払われない。ネパール政府は中国からインドまでつらぬく新路線の経済効果を優先し、貧しい人々の生活の足は後回しにしたまま。
客車の外まで客であふれ、その重量とゆがんだレールのため脱線までひきおこす。それを多数の乗客の協力で人力で戻したのもすさまじい。関税がかからないからと密輸し、抜き打ち検査から逃げまどう女性はたくましい。
しかし発展途上国の貧しくも生きぬく人々を力強く描くドキュメンタリーではなく、最終的に路線の廃止が決定したという話で終わってしまった。貧困を安易に楽観的に演出するよりは良いと思うが、後味が悪い上にオチとしてのまとまりもなくて……