ニュースを知って、反射的に思い出したのがバスケットボール漫画『SLAM DUNK』31巻のクライマックス。
佐々木の登板回避は「監督の判断」 宣告に本人は笑顔 - 高校野球:朝日新聞デジタル
――判断に後悔は
特にない。
後遺症の残りかねない状態にある主人公を下げさせた指導者が、止めるのを遅らせたことに「一生後悔するところでした」と謝罪する場面だ。
- 作者: 井上雄彦
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1996/10/03
- メディア: コミック
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漫画としては、主人公自身が試合を望んで押し切って出場してしまい、長いリハビリを必要とする肉体になってしまう。
しかし1996年のこの作品あたりから、心身を傷つけず休んで次につなげる意義をスポーツ漫画が描いていく分水嶺になった印象がある。
実際、ツイッターでは同じように想起した指摘をいくつか見つけた。
佐々木投手を登板させなかったことで、大船渡に苦情を入れている人は、スラムダンクを100回読むことをお勧めします。 pic.twitter.com/FLmpUj7BYi
— tomo_8095 (@tomo_8095) 2019年7月26日
しかし「大船渡 一生後悔」という単語で検索して探していたところ、私の予想に反して、登板しなかったことに一生後悔すると予想する意見も多かった。
大船渡 一生後悔 - Twitter Search
古い漫画を連想する意見が少ないのは当然だとしても、ツイッターを使う世代ですらスポーツに対する意識の変化のなさに愕然としてしまった。
それでも、ツイッターだけなら一個人の無責任な感想にとどまるかもしれない。
しかし実際の高校野球監督経験者へのインタビューで「ずっと後悔している」という発言がタイトルに使われていたことには驚いた。
イチロー恩師は「あの夏のエース温存をずっと後悔している」大船渡佐々木“登板回避”で振り返る | 文春オンライン
念のため、実際にインタビューを読んでみると、登板させなかった判断にも一定の妥当性を認めているし、酷使した投手を変えられずに負けたことがあったとふりかえっている。
佐々木温存を決めた監督の意図もわからないではありません。ただ、私はずっと後悔している。あのとき、イチローに投げさせてやりたかった
私も工藤(公康)のときにベスト4まで行ったときは、それまで3試合投げて彼の体がパンク状態だった。球のスピードも落ちて、相手チームの報徳学園の選手が『今日の工藤の球はキレがねえぞ』って円陣で話していたくらい。それでも交代させることはできず、結局、打たれてしまった。
全体として、夏期の高校野球はつづくことを認めながら、複数投手を交代させることを前提にチーム作りすべきと提言していて、タイトルよりは穏当な内容ではあった。