法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』ハツメイカーで大発明/大砲でないしょのはなし

ひさしぶりに前後とも原作あり。


「ハツメイカーで大発明」は、のび太ドラえもんが仲たがい。かわりに来たドラミちゃんもすぐ帰るという。そこで要求通りの道具を設計する秘密道具を出して……
優等生的なドラミに誘導され、工作を楽しみながら自然と努力する。そんな後期原作を忠実にアニメ化。のび太がつくる道具の種類や機能も全て原作通り。実は2006年9月にもアニメ化されたが、似たプロットの別短編「ションボリ、ドラえもん」と組みあわせて、「のび太くん、さようなら! ドラえもん、未来に帰る…」という誕生日1時間SPとして放映した*1
オリジナル描写として、今回も2006年版と同じく、最初の道具「ゴキブリ帽」の名前を聞いてドラミちゃんがおじけづく。ドラえもんにとってのネズミと同じなのだから、道具名に反応しない原作はよく考えると不自然だ。そのゴキブリ帽による高速移動描写も、手描き作画による残像表現が見事で、なかなかアニメとして楽しいアクション演出になっていた。
最後の巨大ロボット戦は、2006年版より時間たっぷりにボリュームアップ。ドラミちゃんが兄をフォローする描写も追加して、ドラマとして見ごたえある内容にしあがった。


「大砲でないしょのはなし」は、のび太が裏山で見つけたイチジクの木を、ジャイアンスネ夫に知られず、しずちゃんにだけ教えようと秘密道具を使うが……
原作の初出は1984年で、肩掛け式の携帯電話が発売される1985年の直前。小学生の30%以上に携帯電話が普及*2した現在となっては、どうしても古びた印象がぬぐえない。
特に、釣りにいったパパへ連絡がとれないという序盤の悩みが不自然すぎる。水辺だから携帯電話を預けているとか、少しひねった説明をつけるべきだろう。
もうひとつ、しずちゃんと秘密裏に連絡して裏山に行くための秘密道具として、どこでもドアやタケコプターなどの下位互換でしかないという問題もある。そこで他の秘密道具を修理に出していると説明することもできるが、間違って発射した音声を止めるためにタケコプターで追いかけるというオリジナル展開を追加してしまった。壁をぬける音声をタケコプターで追う難しさが魅力的なアクション描写に昇華されたとはいえ、整合性が失われてしまったことは事実だ。