法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『HUGっと!プリキュア』第41話 えみるの夢、ソウルがシャウトするのです!

いずれルールーは未来に帰ると聞いてから、愛崎えみるの挙動がおかしいまま。プリキュアや周囲の皆で案じるが……


坪田文シリーズ構成の脚本。前回の結末から連続した少女ふたりのドラマを描き、愛崎を案じる兄の「親友」として登場した若宮アンリのドラマを次回へ引く。1年物のTVアニメの終盤で連続性が強まることは珍しくないが、アクションアニメなのに敵の攻勢は普段と変わらないまま、サブキャラクターを掘りさげていく展開が目新しい。
ドラマそのものもシンプルによくできていた。祖父をパターナリスティックな存在として初登場させ、今回だけでは愛崎家の問題がつづくものの、それを打ち破る未来の可能性を見せる。
一方、ルールーとふれあって変わった愛崎家の長女。未来を失う予感で心を閉ざした猫のように少女を描き、それをはげまそうとする周囲とのギャップでドラマの重さのわりに画面が軽くて見やすい。主人公の野乃はなが今回は完全にコメディリリーフだが、誰かを応援して支えるという今作のメインテーマに合致しているので物語における存在意義がちゃんとある。
そして少女ふたりのドラマとして始まった今回のエピソードが、少女ふたりのドラマに収束していく。かつてふたりをつなげた音楽が、閉ざしていた心を開く力となり、ひとりのわかれを決意させたことも明かして、未来にとどけるべきふたりの証となる。


細かいところでは、前回*1と違って敵側の心情が味方側のドラマに対応していたことと、怪物化させられる時の心情が今回は猛オシマイダーという名称と違和感なくつながったのも良かった。
しかし全体としてはシリアスにまとめているのに、ふたりの物語からアニメ映画版『時をかける少女』を連想していたら、クライマックスにそっくりの台詞と構図が出てきて笑った。思えばアニメ映画版『時をかける少女』では未来につたえたい文化として絵画をもちだしていたが、それが『HUGっと!プリキュア』では音楽なわけか。