大人になったキラパティのみんなの前に、クライアス社のドクター・トラウムがあらわれる。しかしこの番組は、あくまで『HUGっと!プリキュア』である……
シリーズ旧作のプリキュアと共演するエピソードで、同じようにプリキュアが共演する映画『オールスター』シリーズと同じく村山功が脚本。旧作の主人公たちと同じ世界でクライアス社に立ちむかう。
前作『キラキラ☆プリキュアアラモード』の主人公たちをトラウムが拉致する冒頭と、前々作『魔法つかいプリキュア!』の主人公たちが異世界から助けにくる展開から、てっきり作品ごとの世界は別という設定かと思いきや、徒歩で別作品のプリキュアを探しにいく。
以前にシリーズ初代のカメオ出演回があり、そこで同じ世界に別のプリキュアがいることを示唆する台詞はあったのだが、その時は本当に同じ社会の住人とは思わなかった。
『HUGっと!プリキュア』第22話 ふたりの愛の歌!届け!ツインラブギター! - 法華狼の日記
プリキュアがたくさんいることを示唆する会話があるが、オールスター映画のメタ的な説明というだけではなく、世界観的な主張と感じさせる。たぶん世界設定的な説明ではない。今後の物語で異世界プリキュアとの交流が展開されるのではなく、「なんでもなれる!」のメッセージの強調なのだろう。
あくまでTV版とは独立したイベント映画で共存するのは理解するが、カメオ出演回のように異世界から呼ぶのでもなしに共演されると、どうしても設定の整合性が気にかかってしまう。過去の一大決戦でなぜ他のプリキュアが出てこないのか、他の場所で戦っているにしてもなぜプリキュア同士で協力したりしないのか、どうやっても説明が難しくなる。
旧作プリキュアの子役が大成して今作の元子役プリキュアが尊敬しているような描写は良かったが、それを認めながらも好みにあわないというのが正直な感想。
イベント的なエピソードとして見れば、プリキュア変身前に旧作の主人公たちの成長した姿が見られたり、『Yes!プリキュア5』の主人公より先に元敵幹部のブンビーが登場して目立ったりと、楽しくないわけではないのだが……
また、山岡直子と宮本絵美子が総作画監督に入っているものの、フィリピン作画回なのでイベントらしい特別さが画面にない。次回も、予告映像を見る限りは、あまり整ってなさそうな気配がある。