野乃はなたちは落ちてきたサンタクロースを助けてプレゼントを配ってまわる。一方、後がない敵幹部ジェロスはトラウムの残したアイテムを飲みこんで……
坪田文シリーズ構成の連続脚本だが、あまり構成がコントロールできていないのか、季節のイベントと敵幹部のドラマが融合していない。
たがいを思いやるクリスマスの情景が、ルールーとトラウム、ジェロスと元部下のふたつで同時並行してまじわらない。しいていえばトラウムが主軸になっているが、後半に登場した元敵幹部という微妙な立場の上に、あまりジェロスとの個人的な因縁がない。
他のメインキャラクターにいたっては、再登場したゲストキャラクターと同じくらいの存在感しかない。パーティーなどをとおしてゲストキャラクターの現在を見るイベント回としては楽しかったが、ジェロスもまた後半から登場した敵幹部なので、ゲストキャラクターとの因縁がほとんどない。
それでもクリスマスらしく総花的なイベント回ならばバラバラなドラマが同時進行してもいいが、敵幹部退場というドラマが重たすぎる。再登場した部下ふたりも芸人声優なので、芝居かかった台詞はいいが、今回のようなシリアスなドラマを支えきれていない。
絵柄が古いながら仕事量の多いベテラン青山充の一人原画も、多数のキャラクターが登場する気楽なイベントには向いているのに、追いつめられた敵幹部が退場する後半の展開に牧歌的な作画は合っていない。
全体としてクリスマスイベント部分は楽しかったし、プリキュアが活躍して幸福になった世界を歓迎する敵首領も過去に例のないタイプではあった。
とにかくジェロスのキャラクターの弱さが終盤にきてたたったのが残念。回想パートのジャージ姿の3人は意外性もあって良かったが、フォローになるほどではない。
それらをふくめて、幹部の退場に重きをおかない敵首領という面白味はあったのだが。