法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『世界まる見え!テレビ特捜部』○○のおかげで助かりましたスペシャル

MCを6年間勤めていたアナウンサーの卒業が最後に発表。しかしいまだ楠田枝里子の不思議な降板が印象に残ってしまっている……


「イギリス救急医療チームの裏側」は、2005年の同時多発テロを受けて結成されたレスキューチームの活躍を追う。訓練をつづける情景や現場の映像は興味深いものの、特に他国の緊急医療と比べて特別感はないので、ドキュメンタリーとしての面白味は感じなかった。
「アフリカの草原に飛行機墜落!ピンチを救った意外なモノは?」は、1992年にザンビアで墜落した小型機からのサバイバルを再現。野生動物を高空から調査していたところ、乱気流で人里離れた山近くに墜落。軽傷なのは現地人ガイドひとりだけで、ふたりは背骨を折り、最後のひとりは飛行機の残骸に押しつぶされた状態。
気になったのは、先進国の調査隊3人の視点だけで構成されていること。特に、ガイドの台詞が、未開の黒人らしい役割り語で演じられていたことに驚かされた。燃料の漏れている危険な残骸に近づいて通信機のスイッチを動かしたり、湧水を見つけて3人に与えたり、助けを呼ぶため危険な動物のいるサバンナへひとりで向かったり、行動を客観的に評価すれば充分に活躍しているのに、その慎重さを臆病なだけのように表現され、調査隊の指示で動いているだけのように位置づけられている。
おかげでドキュメンタリー終了後のゲストの語りあいで、ガイドの存在意義を疑うようなコメントが出てくる始末。もちろん背骨が折れながら這いずって水を確保したり山頂へいった人物はすごいし、その人物が残した断熱シートの金属光沢で上空から発見された経緯はおもしろいが、一方の視点しかないことに無自覚な構成には疑問が残った。
「悪魔がとりついた!?謎の病に冒された少女たちを救ったモノは?」は、被害妄想におちいって肉体も動かなくなっていった少女たちの症状を解明する。
いかにも統合失調症を疑わせる病状で、ひとりは精神病院で治療を受けたが、やがて体を動かすこともできなくなり、危篤状態におちいっていく。それは自己の免疫が脳を攻撃してしまう、抗NMDA受容体脳炎という病気だという。2007年に発見されたばかりで医師にも知られておらず、CTやMRIでも発見しづらいため、なかなか正体が判明しなかったらしい。
それがわかったのは、病気にかかった記者がTV番組で体験を語ったため。そうして助かった少女たちも、その情報を次に伝えるためTVに出たり、本を書いたりした。ただの医療ドキュメンタリーに終わらず、そのようなドキュメンタリーそのものの意義を感じさせる構造が興味深い。